……もう一歩
Mike Flores / translated by YONEMURA "Pao" Kaoru
2008年12月18日
クアラルンプール(ジョン・フィンケル)、ハリウッド(チャールズ・ジンディ)、ベルリン(ルイス・スコット=バーガス)と、古き良きアメリカの時代が今一度訪れそうな勢いだったのです、今年、2008年のプロツアーは。
チーム戦においては、アメリカ選手権を制したマイケル・ジェイコブ、それにプロツアーでも名を残しているポール・チェオンとサム・ブラックのトリオが他のチームを蹴散らし、チーム戦の王者になりました。アメリカが再びチーム戦の頂点に立ったのです。
今年のチーム戦は、3つの異なる構築戦形式で行なわれました。各国代表チームがそれぞれスタンダード、エクステンデッド、レガシーに代表選手を送り出す形だったのです。
エクステンデッド
次のプロツアー予選シーズンがエクステンデッドということもあり、エクステンデッドの技術を惜しみなく注ぎ込まれているこのチーム戦には注目が集まりました。
トップ4に残ったデッキは、優勝がエルフ、黒青トロンが2つ、デスクラウドが1つでした。
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Sam Black - Extended - USA 2008 Worlds National Team Top 4
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サムのエルフは強くメタられていました。彼は、エルフ-エルフのミラー対策に《オルゾフの司教》をメインに投入していました。対戦相手が回り出したら、彼がタップアウトしていたとしても、相手がエルフをプレイしたことで《ワイアウッドの養虫人》が誘発し、昆虫トークンが出てきたらそれを使って《召喚の調べ》をプレイし、《オルゾフの司教》をプレイして相手を一掃できるのです。
興味深いのは、サムのデッキがベルリンを制したルイス・スコット=バーガス型の《ぶどう弾》ではなく、《捕食者のドラゴン》と《鏡の精体》型だったということです。《捕食者のドラゴン》はベルリンでも多く使われていたフィニッシャーでした(多くのエルフ・デッキが、《召喚の調べ》や《樺の知識のレインジャー》を使って《捕食者のドラゴン》を出し、エルフや昆虫を大量に貪食して飛行・速攻でパワー200以上でぶん殴る、という流れでした)。《鏡の精体》はそれよりも数は少なかったですが、よりエレガントな勝利パターンだと言えるでしょう。《遺産のドルイド》を使って出した大量のマナを使って、大量の昆虫とエルフを出し、昆虫をエルフにして、それらをタップして大量のマナを出して《鏡の精体》、そしてターン開始時からいたエルフが巨大になって攻撃、という流れです。これがエレガントだと言える理由は、《ワイアウッドの共生虫》でエルフを戻す時に、エルフになっている《ワイアウッドの共生虫》を戻して「ターンに1回」の制限を無視することができる、というところにあります。これと《本質の管理人》のコンボで、マナもライフも思いのままになるのです。
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Masashi Oiso - Extended - Japan 2008 Worlds National Team Top 4
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Aaron Nicastri - Extended - Australia 2008 Worlds National Team Top 4
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この2つの黒青トロン・デッキを比べるなら、私は大礒正嗣のもののほうが新人賞受賞者のデッキよりも好きですね。少なくとも、対エルフのメタゲームを考慮するなら、という前提で。ニカストリのデッキは早いターン(3ターン目かそこら)に《魂の裏切りの夜》をプレイ(して、エルフを止めることが)できますが、大礒の方がよりシナジーが色々と組み合わさっており、(しつこいですが、エルフ対策の)柔軟性がありますから。
まず、メインに4枚刺さっている《虚空の杯》が目を惹きます。X=1でプレイすれば《イラクサの歩哨》《遺産のドルイド》その他諸々のエルフ・デッキの中軸を止めることができます。また、《虚空の杯》はアーティファクトなので、必要ないときには《知識の渇望》のためにピッチすることもできます。
黒トロンの有利は《魂の裏切りの夜》だけではありません。《迫害》も入っています。《金属モックス》や《ディミーアの印鑑》があるので、大礒のデッキは素早く《迫害》をプレイすることができ、多くのデッキの足を止めることができるのです。エルフ・デッキには1枚ぐらいの《思考囲い》は効きませんが、手札全部捨てさせたらどうなるでしょう?
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Vagner Casatti - Extended - Brazil 2008 Worlds National Team Top 4
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ヴァグナー・カサッティのデスクラウド・デッキには一目惚れでした。このデッキには大量のクールなギミックが入ってるだけじゃなく、来るべきプロツアー予選シーズンにおける戦略の原点になると思われます。《台所の嫌がらせ屋》が《死の雲》で死……んだと思ったら、即座に帰ってきます! 《暗黒破》も強烈です。エルフ相手に初手から効きますし、何度も発掘して墓地に土地が落ちたところで《壌土からの生命》を使うこともできます。長期戦になれば《カラスの罪》も効いてきます。
エクステンデッドにはまだまだ見るべきデッキが山盛りです!
プロツアー予選シーズンが始まる前に、世界選手権で全勝したエクステンデッドのデッキには目を通しておいた方がいいでしょう。
特に、青単フェアリーはエルフを完全に御することができるデッキです。
レガシー
優勝はドレッドスティル、他のトップ4は緑青黒テンポ・コントロール、ローム、白単プリズンでした。
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Paul Cheon - Legacy - USA 2008 Worlds National Team Top 4
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すげえ!
元アメリカ王者ポール・チェオンは、(エクステンデッドの)ネクスト・レベル・ブルーと(レガシーの)ランドスティルを組み合わせたようなデッキ、つまり、大量のカードを引いて3種類ぐらいのコンボを使う、コントロール・デッキを使っていました。
このデッキの基本的な戦略は、パーミッション的にボード・コントロールをして、《粗石の魔道士》と《ミシュラの工廠》という2/2クリーチャーで殴っていくというものです。わっかりやすいでしょ。しかし、それだけだったら取り上げるほどのモノではありません。このデッキが有力なのは、各種コンボのおかげです。
《師範の占い独楽》+《相殺》
よくあった奴ですね。相手とマナ・コストが被っているなら、このコンボでほとんど何でも打ち消すことができます。
《行き詰まり》+《ミシュラの工廠》&《不毛の大地》
ポールのデッキは《ミシュラの工廠》で攻撃し、相手の陣営を《不毛の大地》で妨害するというものですが、どちらも呪文ではありません。対戦相手が第1ターンに動くことができていなければ、このコンボはがっちりロックしてしまうと言っても過言ではないでしょう。
《ファイレクシアン・ドレッドノート》+《もみ消し》&《計略縛り》
《もみ消し》や《計略縛り》はこの環境では強烈な輝きを放っています。オンスロートのフェッチ土地を止めることもできますし、ストームのコンボもぴたりと止まります。そして、この呪文を《ファイレクシアン・ドレッドノート》の誘発型能力に使えば……2マナで12/12、ですよ?
最初の2つのコンボでカード・アドバンテージを確保して、ドレッドスティルの名の通りのコンボで一気に勝負を決めるデッキです。
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Akihiro Takakuwa - Legacy - Japan 2008 Worlds National Team Top 4
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今まで見たこともないほどクールなデッキです。攻撃手段は《幕屋の大魔術師》で、ブロックするのに十分なタフネスがあります。そして、相手の土地をすべて除去すれば、自動的にクリーチャーも除去できるという仕掛けです。都合のいいことに、このデッキには大量の《ハルマゲドン》が入っているのです。
《ハルマゲドン》の防御が色々と入っています。《トロウケアの敷石》は即座に土地を戻しますし、《世界のるつぼ》はいつでも土地を持ってきますし、《黄塵地帯》や《不毛の大地》を出すこともできます。《金属モックス》でなく《モックス・ダイアモンド》が入ってる理由は、これもまた《世界のるつぼ》ですね。
《煙突》と《世界のるつぼ》による緩いロックで、相手のパーマネントをすべて除去していきます。それだけでなく、プリズン・デッキとしても働き、ロックを強めるのです。このデッキの呪文と戦略によって生まれる、マナの少ない環境においては、《幕屋の大魔術師》や《亡霊の牢獄》の効果でまともに攻撃することは不可能になります。実際にゲームが終わるのには多少の時間がかかるでしょうけどね。
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Luiz Michielli - Legacy - Brazil 2008 Worlds National Team Top 4
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このデッキは数年前にエクステンデッドでよく見かけたCALやローム・デッキとよく似ています。《田舎の破壊者》や《土を形作る者》と、《燃え立つ願い》で持ってきた《壊滅的な夢》との即死コンボもあります。また、《壌土からの生命》のカード・アドバンテージを活かしてじっくりプレイし、最後に《突撃の地鳴り》でゲームを決めるという流れもあります。
エクステンデッドでなくレガシーになって、《モックス・ダイアモンド》が入りました(高桑の《世界のるつぼ》と似たような感じですね)。《モックス・ダイアモンド》は《壌土からの生命》デッキでは何も弱点のないカードになるのです。
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Justin Cheung - Legacy - Australia 2008 Worlds National Team Top 4
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チェングのデッキはレガシーの古典的なスレッショルド・デッキとよく似た、少々の打ち消し呪文と大量の墓地を肥やす軽量呪文(《思案》、《渦まく知識》など)の組み合わせになっています。このデッキではコスト2マナの《タルモゴイフ》だけではなく、黒い同類の《墓忍び》(しかもピッチスペルの《殺し》で死なないという特権付き!)も使われています。
このデッキのクリーチャーは強いので、戦略としてはまず1体を確実に出し、そして《目くらまし》や《Force of Will》などの除去・妨害(そして、このデッキでは軽いかピッチかです)を使ってそれを守り抜くという形になります。
チェングのデッキに入っている妨害はわずかとは言えません。《不毛の大地》や《Sinkhole》といった妨害手段も入っています。これらのカードのおかげで、マナをがっちり押さえ込むことができます。さらに、相手の思うままにさせないように、あるいは単に《タルモゴイフ》や《墓忍び》を守るように、ジャスティンは《思考囲い》を使っています。
スタンダード
優勝は黒白高地、他にトップ4に残ったのはフェアリー、5色コントロール、復讐のヒバリ(赤白コントロール)でした。
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Michael Jacob - Standard - USA 2008 Worlds National Team Top 4
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マイケル・ジェイコブの黒白高地デッキは、《湿地の飛び回り》《雲山羊のレインジャー》《幽体の行列》、それにもちろん《苦花》と、思いつく限りのトークン生成手段が詰め込まれたデッキです。これらの効果で3体以上のクリーチャーがばばっと場に出てきて(《苦花》は「ばばっと」ではありませんが、合計は3体どころじゃありませんから)、《風立ての高地》の起動条件を満たして秘匿カードをプレイ、というものです。
多くのトッププレイヤーが《復讐のアジャニ》を「スタンダード最強」だとたたえていますが、赤マナが入っていないこのデッキでマイケルが使ったのはアジャニはアジャニでも旧世代、《黄金のたてがみのアジャニ》のほうでした。このプレインズウォーカーの能力でトークン・クリーチャーのサイズは《栄光の頌歌》を歌われたかのように大きくなり、盤面を埋め尽くす1/1の群れは1/1では終わらなくなるのです。
黒白高地デッキは、妨害能力に長けています。《潮の虚ろの漕ぎ手》4枚がメインに入っているのに加え、さらに《思考囲い》をメインに2枚、サイドに2枚仕込みました。2007年のアメリカ選手権以来完全に姿を消していた《頭脳いじり》は、《迫害》と組み合わさることで相手の手札を完全に壊滅させてしまいます。
全体的に見て、これは旧来のフェアリーとも5色コントロールとも、キスキンとも亜神とも違う、斬新で強力なデッキで、メタゲームのトップと太刀打ちできるようなものだと言えるでしょう。
黒白高地デッキ(またの名を黒白トークン)は、スタンダードにおける新星だと言えます。これは特に《復讐の亜神》デッキに相性が良く、多くの強力なシナジーは色々なデッキ相手に奮迅に立ち回ることになります。
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Yuuya Watanabe - Standard - Japan 2008 Worlds National Team Top 4
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この記事には大量のフェアリーが載ることになりますので、ここではこのデッキについてコメントをしないでおこうと思います。チャンピオンのアンティ・マリーン、帰ってきたカーステン、津村、浅原のトップ8のデッキで色々解説することにしましょう。
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Brandon Lau - Standard - Australia 2008 Worlds National Team Top 4
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ローが使った『復讐のヒバリ』デッキは、彼のチームメイトのアーロン・ニカストリが初日全勝を果たしたデッキとほとんど同一のものでした。
オーストラリア代表チームは先週以降にオシップ・レベドウィッツの助言を受けて(《幽体の行列》を加え)、《白蘭の騎士》を抜き、《残忍なレッドキャップ》と《ブレンタンの炉の世話人》は残しました。
このデッキは他のところでも話題にあがった、(フェアリー相手に有利とは言い切れないのでメジャーではありませんが)スタンダード最強のデッキの一つ「ボート・ブルー」と同じ類のもので、《復讐のアジャニ》をもっとも使いこなしたデッキだと言えます。《運命の大立者》や《モグの狂信者》を初手に出しての速攻もできれば、《イーオスのレインジャー》と《目覚ましヒバリ》を使ったカード・アドバンテージ型の戦略も取れます。後者の場合、《包囲攻撃の司令官》で決めることになります。
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Willy Edel - Standard - Brazil 2008 Worlds National Team Top 4
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5色コントロール・デッキは現状のスタンダードではもっとも柔軟なデッキです。鮮烈土地と《反射池》、さらにマナ源の多さが、あらゆる呪文を使えるようにしてくれるのです。
エデルは赤白のプレインズウォーカーと青のプレインズウォーカー、さらに緑白の2マナ圏、加えて青黒絡みの3色呪文を山ほど投入しているのです。すごいことは何もない、それがこのデッキのありかたです。
ああ、彼のサイドボードには《苦花》が入っていますね。
トップ8
優勝はフェアリー(他に4つトップ8入り)、他に5色コントロールが1つ、《荒廃稲妻》ビートが1つ、キスキンが1つでした。
個人戦では、日曜の朝はアメリカ人ファンにとって寂しいものでした。トップ8に残ったアメリカ人はただ1人、ジェイミー・パークだけだったのです。初日はガブリエル・ナシフのデザインした5色コントロールを使って2-3-1というひどい成績で、彼自身、「これぐらいはハンデだよね」などと冗談を言っているほどでした。このデッキを使ったニューヨークの仲間、ジョン・フィンケルやスティーブ・サディンの成績はそれよりさらにひどいものでした。(訳注:フィンケル2-4-0、サディン0-6-0!)
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Jamie Parke 2008 Worlds Top 8
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さらに悲惨なことに、ジェイミーの準々決勝での対戦相手はプロツアーで実績のあるパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサで、そのデッキはフェアリー……ジェイミーの夢見た対戦どころか悪夢の対戦です。
しかし、ウィリー・エデルの時に言ったとおり、5色コントロールのサイドボードには《苦花》が入っています。粘り強い対戦の結果、(第5ゲーム、パウロはマリガンからスタートして、《苦花》を惹かなかったのです)ジェイミーは何とかトップ4の席にたどり着きました。
トップ4で、ジェイミーは池田剛の《荒廃稲妻》ビートとぶち当たります。ここで大きかったのは、《台所の嫌がらせ屋》の代わりに投入されていた《ロウクスの戦修道士》でした。最終ゲームでは、毎ターン6点のライフを得るという大活躍を見せました。
このトップ8は、アメリカ側から見ると、アメリカが2008年のプロツアーを独占できるかということは一つにありますが、このトップ8そのものを見ると、フェアリーが過半数を占めていました。過半数である5人の中に、この世界選手権を制して2008年の世界王者になったアンティ・マリーンの姿もあります。
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Antti Malin 2008 Worlds Top 8
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今回のトップ8に残ったフェアリー使いの顔ぶれを見ると、2〜3年前からマジック界のトップ・プレイヤーたちが帰ってきたのだと言っても過言ではないでしょう。ダモ・ダ・ロサとマリーン以外にも、フェアリーを使ったプレイヤーは「ザ・ファナティック」「オンライン・テック執筆者」フランク・カーステン、「歴史と伝統の男」浅原晃、そして名前だけで誰もが理解するこの男、津村健志がこのデッキを使っていました。
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Frank Karsten 2008 Worlds Top 8
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フランクのフェアリー・デッキは、その構築にも物語がありました。世界選手権に向けての時間が取れず、自分のフェアリー・デッキを充分に調整することができなかった彼は、デッキ・オブ・ザ・ウィークや他のスタンダードのイベントからデッキ情報をかき集めたのです。
かくして、カーステンのフェアリー・デッキは多くの情報源に頼った、いわば「文殊の知恵」頼りのデッキとなりました。そういう構築方法でしたから、あまり見かけない選択も入っています。1枚差しのカード、たとえば《ヴェンディリオン三人衆》《砕けた野望》《ジェイス・ベレレン》《ロクソドンの戦槌》《思案》などが大量に入っています。その中でも《思案》は興味深いものでした。フランクがもう1枚土地が必要だけれどもプレイしたいわけではない、そんな矛盾を解決するのが1枚差しの《思案》でした。時には土地となり、時には呪文となって働いたのです。
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Kenji Tsumura 2008 Worlds Top 8
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津村のデッキは、彼をトップ8に再び返り咲かせたと言うことが一番の特長です。メインデッキはいわゆる普通のフェアリー・デッキです。小型クリーチャーを出して、《ジェイス・ベレレン》とか4差しの《思考囲い》をプレイするというものです。
しかしサイドボードは普通ではありません(フェアリーが3枚入っていることも含めて)、《鎖の呪い》や《リリアナ・ヴェス》といった奇妙なカードが入っています。《リリアナ・ヴェス》は確かにある種のデッキにはよく刺さりますが、あらゆるアーキタイプにおいてプレインズウォーカーがすぐに投入されなかったことを示しています。先週、単純な白単ビートダウンに赤を散らして《復讐のアジャニ》を入れたものを見かけましたが、このデッキのメインに入っているのは《ジェイス・ベレレン》です。そして、スタンダードの上位デッキを見回すと、「革新する者」パトリック・チャピンの5色コントロールに《リリアナ・ヴェス》がメインで入っていることに気づくでしょう。
しかし、トップ8に残った5つのフェアリーの中で、一番心に残ったのは浅原晃のものでした。
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Akira Asahara 2008 Worlds Top 8
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浅原は初日フェアリー・デッキで全勝を飾り、プロツアーの語り手ブライアン・デビッド=マーシャルは彼のミラーマッチを完璧な職人芸だと誉め称えました。このトップ8にフェアリーが1つしか残っていなければ、言い換えるなら、世界王者、パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ、ザ・ファナティック、そして元最優秀プレイヤーがこのデッキを使っていなければ、私の一押しは浅原晃になっていたでしょう。
私が初めて浅原のプレイングを見たのは、エクステンデッドのプロツアー・コロンバスのときでした。彼のゴブリン・デッキは、1枚差しの必殺技《鏡割りのキキジキ》を探してきて出すというものでした。《鏡割りのキキジキ》がゴブリンだということも忘れていた私にはインパクトがあったものです。コロンバスでは、彼は《鏡割りのキキジキ》と《火炎舌のカヴー》を駆使して賞金圏内にたどり着きました。
今年2008年、浅原はミラー・マッチを勝つことに狙いをつけてきました。彼のメインデッキを確認してください、そこには4枚の《コショウ煙》が入っているのです!
浅原はメインに《ジェイス・ベレレン》を2枚入れ、マナ・バランスを考慮して《フェアリーの集会場》を4枚投入しました。しかしこのデッキの調整の本質はそこではなく、《コショウ煙》にあります。特にミラーにおいては自動的に2対1交換ができるだけでなく、速度を得るための小型クリーチャーこそが力ですから。
「相手が《苦花》を出していてこっちは出していない。相手も私も出していれば、私が勝つ。私が出していて相手が出していなければ、私が勝つ。相手が出していて私が出していなければ、私が負ける」
-パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ、《苦花》について語る
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Paulo Vitor Damo da Rosa 2008 Worlds Top 8
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フェアリーがトップ8に5つもある中、トップ4に進むことができたのはマリーンのものだけでした。パークが5色コントロールで、ハンス・ケレムがキスキンで、池田剛が《荒廃稲妻》ビートで、それぞれフェアリーを倒したのです。
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Hannes Kerem 2008 Worlds Top 8
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このデッキは、いわゆるキスキン・デッキが《鏡編み》コンボデッキから進化したことを教えてくれます。ケレムが使ったのは別の4枚でした。
今までさんざん議論されてきたとおり、アントワン・ルーエルのインビテーショナル・カードである《イーオスのレインジャー》は非常に強いカードです。このデッキではカード・アドバンテージを出すとともに、(メインに1枚だけ入っている)《ブレンタンの炉の世話人》を引っ張ってきて《炎渦竜巻》や亜神デッキを止めてしまうことができます。
様々なデッキを見てきたが、その話題の中心になっているのは、どうプレインズウォーカーを入れるか、ということであることは間違いありません。スタンダードでもっとも攻撃的なデッキタイプに、2種類のプレインズウォーカーが入っているところをお見せしましょう。《遍歴の騎士、エルズペス》は特にミラーマッチで強烈な働きを見せてくれます。《メドウグレインの騎士》を「宙に舞わせ」て差し引き10点のライフ差をつけるというのですから恐ろしい話です。そしてこれは《遍歴の騎士、エルズペス》にとってはカウンターを『得る』行動なのです!
トップ8のデッキ最後の一つは、私の一押しの《荒廃稲妻》ビートです。
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Tsuyoshi Ikeda 2008 Worlds Top 8
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すでに2回ほど取り上げていますが、《荒廃稲妻》ビートです。池田のバージョンは、今までに私が見てきたデッキとは色々なところで違いがあります。
まず、土地が25枚。これはデッキの主軸が1マナのゴブリン(《モグの狂信者》)から4マナのゴブリン(《残忍なレッドキャップ》)に移ったことによります。このデッキは典型的な《荒廃稲妻》ビートよりもマナを必要とします。5マナ圏では、よくある《復讐の亜神》を《包囲攻撃の司令官》に差し替えたので、《ショック》能力を打つためにマナが必要になりました。
最後に、バーンという面から言うと大きく変わったのは1つ、《タール火》が抜けて《マグマのしぶき》に変わりました。《マグマのしぶき》は表には出ませんが、赤の天敵《台所の嫌がらせ屋》対策には最強のカードの1つです。《マグマのしぶき》は《台所の嫌がらせ屋》をわずかなマナで完璧に除去してくれるのです。
これで、今年の最強デッキの紹介は終わりです。ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。それでは、良いお年を!
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