決勝戦:帝王復活!

マリオ・パスコーリ vs ジョン・フィンケル

ネイト・プライス(訳:YONEMURA "Pao" Kaoru)


 私たちカバレッジ・スタッフの任務は、星の数ほどもあるイベントの中であふれかえっている情報の中から実用的で面白い情報を選別し、皆さんに提供するということです。この週末は、カバレッジ・ライターにとって夢のようでも、そして同時に悪夢のようでもある週末でした。この週末ほど多くの才能が同時に煌めくのを目にすることはめったにありませんでした。この週末の出来事は、ここで書ききれないほど多くの物語を紡ぎました。そして今ここで、この週末の締めくくりとなる物語は、今まで想像したことのあるどれよりも大きな物語となるでしょう。

 ジョニー・マジックの帰還です。

 プロツアーの日曜日から何年も遠ざかっていた「アメリカのマジック界で最高のプレイヤー」だった男が、再びプロツアーの決勝に姿を表したのです。マリオ・パスコーリがジョン・フィンケルの列伝に刻まれてしまうのか、それともフィンケルを下して彼の伝説を打ちたてるのか、注目が集まります。

第1ゲーム

マリオ・パスコーリとジョン・フィンケルのにらみ合い

 第1ゲーム、フィンケルはプロツアーの決勝という晴れ舞台でマリガンをしてしまいました。パスコーリは手札をちらりと見て開始を宣言します。最初のターンに《炎族の先触れ》をプレイし、デッキから《変わり身の狂戦士》を探してきます。彼の今日の必勝パターンです。フィンケルは《蚊の守り手》《炎族の先触れ》の足を止め、パスコーリが返しに出してきた《太陽弾けのシャーマン》の攻撃も同時に阻みました。

 パスコーリはダメージを与えるべく、《眼腐りの終焉》《蚊の守り手》を除去、さらに攻撃して3点のダメージを与えます。フィンケルはパスコーリのアップキープまで待ってから《やっかい児》をプレイ。これでパスコーリが1枚しか出していなかった《沼》を止めてしまいました。パスコーリがクリーチャー2体ともで攻撃してきたのを受け、フィンケルは《やっかい児》《炎族の先触れ》をブロック。相打ちにとって次のターンに出てくる《変わり身の狂戦士》で覇権できないようにします。パスコーリは《太陽弾けのシャーマン》を覇権するのを嫌って《変わり身の狂戦士》をプレイせず、《火腹の変わり身》をプレイしました。

 フィンケルは《ゴールドメドウの侵略者》《キスキンの西風乗り》を場に出しました。これで《変わり身の狂戦士》をタップさせてしまえば、パスコーリが何か手だてを見つけるまで無力化できます。とはいえ、《変わり身の狂戦士》のように速攻を持っているわけではないので、出てきたターンに殴ってきた《変わり身の狂戦士》は通すしかありませんでした。

 フィンケルは次のターン、族系に失敗しましたがおかまいなしで《キスキンの西風乗り》で行くことに決めました。《ゴールドメドウの侵略者》が動けるようになったので、《変わり身の狂戦士》はもう怖くないということでしょう。不幸なことに彼の手が止まってしまい《ゴールドメドウの侵略者》だけが生命線になっていましたが、幸運なことにパスコーリも増援を出せず、フィンケルにタップされた《変わり身の狂戦士》を前にしてただパスするだけでした。

 フィンケルは《キスキンの西風乗り》の族系で《キンズベイルの散兵》を公開します。これで《キスキンの西風乗り》が(2回も)強化されるわけです。《キスキンの西風乗り》が回って強化され、フィンケルの攻撃でパスコーリは5点のダメージを受けました。フィンケルのターン終了ステップに、パスコーリは《太陽弾けのシャーマン》の能力を解き放ち、フィンケルの《ゴールドメドウの侵略者》を焼き落とします。これで《変わり身の狂戦士》は自由を取り戻し、その自由を振りかざしてフィンケルのクリーチャーに襲いかかります。フィンケルは《キスキンの西風乗り》《キンズベイルの散兵》でブロックし、ダメージをスタックに積んだ後で自分の《キスキンの西風乗り》《分散》を使います。パスコーリが《ブライトハースの旗騎士》を出してターンを終えると、フィンケルは《キスキンの大心臓》《キスキンの西風乗り》で陣容を立て直しました。

 フィンケルのターン終了時に、パスコーリは《その場しのぎの人形》を使って《変わり身の狂戦士》を場に出し、《ブライトハースの旗騎士》を取り除きます。《変わり身の狂戦士》《火腹の変わり身》が血を求めてフィンケルに襲いかかり、フィンケルは《キスキンの大心臓》《火腹の変わり身》をブロックします。フィンケルのライフは残り5点、《変わり身の狂戦士》の射程距離に入りました。フィンケルは次のアップキープに族系に失敗し、ということはつまり追加のクリーチャーを引けないということになります。《キスキンの西風乗り》がただのチャンプ・ブロッカーとして散った次のターン、フィンケルはカードを引き、そして手札にあった2枚の土地をスコップ代わりに場に出していたカードをかき集めたのでした。

パスコーリ 1-0 フィンケル

第2ゲーム

熟考するフィンケル

 第2ゲーム、今度はパスコーリが手札を見てマリガンすることを選びました。フィンケルは「これで貸し借りなしってか?」と冗談めかします。

 両方のプレイヤーとも素早く展開していきますが、フィンケルの《キンズベイルの散兵》のほうがパスコーリの《ブライトハースの旗騎士》よりも多少攻撃的です。フィンケルはさらに第3ターンに《やっかい児》を出してパスコーリの黒マナを封じました。パスコーリはそれに対応してマナを出し、《つっかかり》《キンズベイルの散兵》を除去します。さらに激突に勝って、公開した《煮えたぎる燃駆者》をデッキの一番下に回しました。

 フィンケルは《鳥の変わり身》を出して航空戦力の強化を図りますが、パスコーリは《タール火》で撃墜し、出したばかりの《火腹の変わり身》の道を開きます。フィンケルは負けじと飛行クリーチャーを呼び、《熟考漂い》が場に出てカードが2枚手札に入りました。この時点で、私はこの週末は多相ではなく《熟考漂い》のためにあったんだと思っていました。

 《火腹の変わり身》で攻撃するため、パスコーリは《コショウ煙》でフィンケルの《やっかい児》を除去します。攻撃の後で、パスコーリは《太陽弾けのシャーマン》《魂光りの炎族》を召喚しました。フィンケルはパスコーリの出している、数こそあるものの決定力に欠けるクリーチャーの群れを睨みつけ、《キスキンの先触れ》を出して《皺だらけの主》を探してきます。《皺だらけの主》が出れば、フィンケルの軍勢はパスコーリを圧倒できるのです。そして、フィンケルはさらに締めくくりとばかり、《キスキンの西風乗り》を呼びました。

 パスコーリは《火腹の変わり身》で再び攻撃しましたが、フィンケルはこれをブロックせずに通します。相打ちにするより、《皺だらけの主》で得られる力を求めたのです。この時点で盤上には数多くのクリーチャーがいました。フィンケルにはまもなく出てくる《皺だらけの主》を待っているキスキンが数体。パスコーリには《煮えたぎる燃駆者》のためのエレメンタルが4体です。暫く考えた後、パスコーリは《キスキンの西風乗り》《欠片の飛来》で打ち落とし、次のターンに強化されるのを防ぎました。。

 フィンケルは《皺だらけの主》を引き、プレイし、4マナと手札2枚を残した状態でターンを回します。パスコーリはカードを引き、諦めの表情を見せました。フィンケルは青白で、手札を残しているのです。しかけることの危険性を考え、パスコーリは何もせずにターンをフィンケルに返します。それから数ターンの間、フィンケルが《キンズベイルの散兵》をプレイして《熟考漂い》を強化して攻撃するまで、ゲームはドロー・ゴーの様相を呈していました。パスコーリのライフは残り一桁、フィンケルはまだダメージをそう受けていません。

 次のターン、パスコーリは《煮えたぎる燃駆者》を使うタイミングと見て攻撃に出ました。フィンケルは《キスキンの先触れ》《キンズベイルの散兵》でブロックします。先制攻撃のダメージより前に、パスコーリは《魂光りの炎族》《ブライトハースの旗騎士》を生贄に捧げ、《煮えたぎる燃駆者》を強化します。パスコーリの軍勢が半減したのを見て、フィンケルは《揃った連射》《煮えたぎる燃駆者》に撃ちます。3-1交換。この状況での3-1交換は、致命的以外の何物でもありません。

 次のターン、フィンケルは《遠くの旋律》をプレイし、パスコーリはそれに応じて《皺だらけの主》《太陽弾けのシャーマン》で除去します。それでもフィンケルは2枚カードを引き、そのカード・アドバンテージは充分でした。《主の後継ぎ》がフィンケルの軍勢に加わり、その攻撃はパスコーリの《火腹の変わり身》《キンズベイルの散兵》の前に飛び出して防ぎました。その次のフィンケルの攻撃、攻撃クリーチャーの指定前にパスコーリが《スミレの棺》をフィンケルの《熟考漂い》に使おうとしたところで、フィンケルの手札から示された《分散》を見て、パスコーリは投了したのです。

フィンケル 1-1 パスコーリ

第3ゲーム

苛立ちのつのるパスコーリ

 今回、フィンケルの立ち上がりは素晴らしいものでした。《蚊の守り手》《キンズベイルの散兵》と繋いでさらに《キスキンの先触れ》《皺だらけの主》を呼びます。パスコーリも負けてはいません、《太陽弾けのシャーマン》を出してさらに《蟻の解き放ち》でフィンケルのクリーチャーを除去します。除去できたのは《蚊の守り手》だけに終わりましたが、次のターン《皺だらけの主》が出た後だと間に合わなかったのです。また、次のターン引くカードが待ち望んでいた土地だということも判りました。

 フィンケルのクリーチャーは《皺だらけの主》で強化され、パスコーリのライフを5点削り取ります。パスコーリがマナ事故を起こしているあいだに、ゲームは刻一刻と進んでいきます。パスコーリは土地3枚でできる限りの抵抗をしました。《炎族の先触れ》《太陽弾けのシャーマン》をさらに場に出したのです。《炎族の先触れ》でエレメンタルを探さなかったのは、彼に必要なのが土地だということの現れです。エレメンタルは《太陽弾けのシャーマン》のエサになる分のブロッカーがいれば充分なのです。

 フィンケルがさらにアクセル全開で突っ走ると、パスコーリの墓地にエレメンタルが溜まっていきます。フィンケルは攻撃を重ね、《炎族の先触れ》のみならず《太陽弾けのシャーマン》1体でブロックさせました。そして《秀でた隊長》を出して、さらなる攻撃の準備をしていきます。

 パスコーリはようやく4枚目の土地を引きましたが、損害を最低限に留めるための彼の選択は土地を出してターンを終えることでした。《太陽弾けのシャーマン》を起動するために、マナを取っておかねばならなかったのです。フィンケルは再び総攻撃を重ねます。《秀でた隊長》で攻撃するのでさらに《キスキンの大心臓》まで登場しました。パスコーリはキスキンの群れの1体を《太陽弾けのシャーマン》でブロックし、その上で《太陽弾けのシャーマン》の能力でフィンケルの《皺だらけの主》を除去します。パスコーリのライフは残り5点、敵のクリーチャーは4体もいるのです。パスコーリは《膿絡み》をプレイし、前のターンに犠牲になった《太陽弾けのシャーマン》の力を借りてフィンケルの《キスキンの大心臓》《主の後継ぎ》を除去しました。

 しかし抵抗もそこまで。それからわずか2ターンの後、フィンケルは《秀でた隊長》の能力を使い、パスコーリのライフを削りきったのでした。

フィンケル 2-1 パスコーリ

第4ゲーム

「ゲームを手札7枚で始めたいね」シャッフルしながらパスコーリが呟きました。

「ああ。マリガンしたヤツが負けてるな。こりゃ面白いや」フィンケルはおかしげに答えます。

 このマッチ初めて、両方のプレイヤーがマリガンせずに対峙しました。そしてそれぞれに次々と展開していきます。まさに決勝戦かくあるべしといったところです。2ターン目の《火腹の変わり身》、返しにフィンケルの《皺だらけの主》、さらにパスコーリは《つっかかり》で除去して《火腹の変わり身》で2点。《つっかかり》の激突で見えたフィンケルのデッキの一番上には《ゴールドメドウの侵略者》が。せっかく《皺だらけの主》を除去したのに、フィンケルが次に出してきたのは《秀でた隊長》でした。

 ここが奇妙なところでした。パスコーリはカードを引き、《火腹の変わり身》で攻撃します。《秀でた隊長》でブロックされると、パスコーリは驚きの表情を見せてパンプさせ、パスを宣言します。

「先制攻撃だぜ?」フィンケルが問いかけました。

「げ。先制攻撃じゃん、何やってるんだ俺」パスコーリは信じられないといった調子で答えました。数秒間頭を抱えてから、《火腹の変わり身》を墓地に送ったのでした。その後、《煮えたぎる燃駆者》をプレイし、ターンを返しましたが、見るからに動転していました。

 フィンケルは攻撃し、《秀でた隊長》の能力で《キンズベイルの散兵》を出します。そして続いて《キスキンの先触れ》を出し、《キンズベイルの風船使い》を探してきました。次のターン、《秀でた隊長》の能力で出すのはほぼ確実です。さらにフィンケルは最後のマナを使って、前の《つっかかり》で見えた《ゴールドメドウの侵略者》をプレイしました。

 パスコーリは次のターンの行動を考えるように一言二言呟きましたが、直前の失敗が響いているのは明白でした。やがて平静を取り戻したパスコーリは、もうしばらく考え込んだ後……フィンケルの軍勢の前に屈し、ざあっとデッキを片づけに入ったのでした。

フィンケル 3-1 パスコーリ

HOME 原文(英文記事)

 
 
;