第14回戦:第14回戦
マリジン・リバート vs. ブランドン・シェール
ビル・スターク(translated by 鈴木健二)
第14回戦は予定では私は休憩時間で、会場をうろうろしながらみんなの話を聞いたり、お菓子なんかをつまんだりして時間を過ごす予定だった。しかしマリジン・リバートとブランドン・シェール、両方とも私の親友である彼らがフィーチャー・マッチの場で戦うことがアナウンスされると、私はこんな時に休んでいる場合ではないと悟った。この試合は見逃すわけにはいかない。
この試合をお伝えするカバレッジ・レポーターとお互いがつながりを持っていると言うことで、この2人のプレイヤーは冗談を言い合いながら、マリジンは高い声でこう言い始めた。
 | | マリジン・リバートは再度のベスト8を渇望している。 |
「僕の彼女のケリーに挨拶するのを忘れないでね!」無邪気なベルギー人はいたずらっぽくこう言った。「僕のお母さんにもね!」こう加えた後に、彼はちょっと考え直した。「ちょっとまって、いや、それはしないでいいや」彼は友達であるゲーマーたちが考えそうなことを想像した後で、すぐさまこうまくし立ててた。すまん、マリジン、もうテーブルに置かれたカードはプレイしたことになっちゃうんだよ・・・
彼らの戦いは、《包囲の搭、ドラン》デッキを操るブランドン・シェールが、デッキの名前ともなっている《包囲の搭、ドラン》と《タルモゴイフ》を場に出すところから始まる。このアイオワ出身のプレイヤーはクアラ・ルンプールでのベスト16で今回のプロツアーシーズンへの参加を決め、ここ数年の間は非常に多くの時間を割いてこのゲームに取り組んできたプレイヤーでもある。マリジンは《雪崩し》で《タルモゴイフ》を除去し、その後《カメレオンの巨像》をシェールの《包囲の搭、ドラン》に対して登場させた。
ブランドンにとってはラッキーなことに、彼には《忘却の輪》という切り札があった。この白いエンチャントは、ブランドンのその他多くの除去スペルから身を守る原因となっているプロテクション(黒)付きの4/4を「殺す」ことができるのだ。リバートの《台所の嫌がらせ屋》はドランをチャンプブロックし、ライフは20対13でブランドン・シェールの優位である。マリジン側の2枚目の《台所の嫌がらせ屋》によってライフが20対15となったところで、アメリカン人プレイヤーは少し変わったプレイを見せた。マリジンのターン終了時に、彼は《宝石鉱山》をタップしてそれをマナバーンさせ、1ダメージを受けたのだ。ここでマリジンは少し動きを止めてこう言った。「ちょっとまって、何でこんな事したのか考えなきゃ。」場をしばしの間注意深く眺めた後に彼はこう言った。「オーケー。よくわからん。」そして単純にライフの変更を書き留めることになった。
ブランドンは自分のターンでその理由を明らかにする。《宝石鉱山》を再びタップして最後のカウンターを取り除き、彼はその土地を墓地へと送った。《不敬の命令》は彼のクリーチャー達に畏怖を与え、そして《宝石鉱山》は墓地から《タルモゴイフ》を1点強化させる役割を果たし、ブランドンの総攻撃によってマリジンのライフはわずか1点まで減ったのである。なんとか挽回を、とリバートは再度《台所の嫌がらせ屋》をプレイするが、しかし状況は芳しくない。シェールは再び攻撃を仕掛け、リバートは何か無いかと打開策を探し求めた。《秋の際》のサイクリングは彼が探している様な解決策をもたらしてはくれず、彼はカードをたたんだ。
シェール 1-0 リバート
第2ゲーム
マリジンは第2ゲームを《高地の森林》でスタートさせ、一方のブランドンは《思考囲い》をプレイした。彼の対戦相手の手札には(マナを出すカードは)2枚の《根の壁》とあとは1枚の土地、《ロノムの口》しかなかった。間違いなくこれは危険なマリガン判断であり、リバートが《根の壁》の1枚を相手の《思考囲い》の対象として示して見せたりした時には、シェールはそのほかの強力な呪文、たとえば《野生語りのガラク》や《カメレオンの巨像》などは無視して、黙ってうなずいてマリジンのマナベースを崩しにかかったのである。ベルギー人プレイヤーのリバートはもう一方の0/5をプレイしたが、しかしシェールは《叫び大口》の想起という形でそれに対する回答を持ち合わせていた。
マリジンにとっては運の良いことに、彼はデッキの一番上から《北方行》という形で「土地」を見つけ出すことに成功した。彼が4ターン目にも土地である《高地の森林》を見つけ出した時、リバートはただ肩をすくめて「こりゃ気まずいな・・・」とつぶやくしかなかった。彼が気まずいと思ったのが果たして次々と土地をトップデッキしたことについてなのか、それとも4枚目の土地がタップ状態で出てきた事によってこのベルギー人プレイヤーが4マナ呪文を使うことが出来なかったことについてなのかはわからないが。ブランドンは間違いなく《包囲の搭、ドラン》でビートダウンする体制だが、しかしマリジンはメイン・フェイズの《雪崩し》でそれを制し、さらに続いて《カメレオンの巨像》を送り出した。
ブランドンの《忘却の輪》が《カメレオンの巨像》をしとめたが、しかしマリジンは再び同じクリーチャーを送り出す。一方で、《包囲の搭、ドラン》も、先ほどプレイされたものが《不敬の命令》によって新たに登場してきた。リバートの2枚目の《カメレオンの巨像》は《樹上の村》を蹴散らし、そして彼は《野生語りのガラク》をプレイしてアンタップ能力を使うことにより、さらに場に《月の大魔術師》を出した。このゲームはまさに殴り合いの様相を呈し、どちらが優勢なのかを判断するのは難しい。しかしシェールは《叫び大口》を普通にプレイして《月の大魔術師》を除去し、この状況を自分の方へと傾けようとする。彼の《包囲の搭、ドラン》がリバートの《野生語りのガラク》へと攻撃を仕掛け、それは破壊された。この時点でライフは12対8でベルギー人リードであり、シェールはプロテクション(黒)に対する対処策を探していた。彼は《地平線の梢》を生け贄に捧げながら、この4/4をチャンプブロックできるような黒くないクリーチャーを探し求める。
彼はそれを《極楽鳥》という形で手に入れたのだが、マリジンは単にそれをブランドンのターン終了時に《ロノムの口》によって除去してしまった。黒くないブロッカーを欠いてしまったシェールはパンプされた《カメレオンの巨像》からの8ダメージを防ぐことは出来ず、このゲームを投了した。
シェール 1-1 リバート
両方のプレイヤーとも黙ってシャッフルをしていたが、しかしここまでの試合を見ればお互いがお互いを認め合っているのは明らかだ。2ゲーム目に、ブランドンの最後の戦闘の時に、マリジンはしばらく考えて《叫び大口》を除去しようかと悩んだのだが、しかし結局そうしなかった。このプレイは明らかに彼が自分の《ロノムの口》の能力をきちんと把握していてそれを最大限に活用しようとしていたことの表れであるのだが、しかしそれでも、ブランドンは《極楽鳥》でのチャンプブロックで1ターンを稼ごうとしていたのだ。このプレイは相手を別に見下しているわけではなく、彼らプレイヤーが社会的なつながりと同様に、ゲームの競技としての側面をどれだけ重要視しているかの表れである。彼らの交わす冗談などは非常に親しげだが、しかし彼らは両方とも勝利を目指しており、勝敗と敵味方というような関係は別という事実を尊重しているのである。
「のこりあと何分?」シェールはマリガンをする前にたずねた。たくさんの群衆の中から、誰かが彼にまだ30分ちょっとが残されていることを告げる。
「いいね」マリジンはこう言った。「遅くプレイしてビルの昼飯の時間を無くしてやろうぜ」
第3ゲーム
リバートはこの最終ゲームで先手を取ったが、しかし彼の2ターン目の《タルモゴイフ》が0/1であるということは(どちらの墓地にもまだカードはない)少々がっかりさせるものだ。ブランドンは《名も無き転置》で《タルモゴイフ》を除去することにより、直ちにこの状況を打開する。彼はその後《樹上の村》で攻撃し、マリジンのライフを17とする。
《森》3枚と《樹上の村》によって、リバートは間違いなくなにかおもしろいことをやろうとしていた。彼は4ターン目のプレイをする前にしばし考えを巡らし、《カメレオンの巨像》の前に《台所の嫌がらせ屋》をプレイして相手の除去呪文を早めに使わせた方が良いのか、それとも《思考囲い》から守るために早めに《カメレオンの巨像》を出してビートを開始した方が安全なのかを考えた。彼は結局4/4を送り出したが、ブランドンは《原初の命令》で《包囲の搭、ドラン》を持ってきて、さらにリバートの《樹上の村》をライブラリーの上へと送り、流れを引き戻す。アメリカ人プレイヤーが次のターンに《忘却の輪》を《カメレオンの巨像》に使うと、間違いなくこのゲームの流れは彼が握っている状態となった。
しかしそれでも、マリジンは戦わずして負けることはしない。彼は《調和》をプレイし、すでに場にある《台所の嫌がらせ屋》とあわせてとにかく何か武器を手に入れようと試みる。
 | | ブランドン・シェールは何とか上位戦線に踏みとどまろうと戦いを続ける。 |
「ベルギーがんばれ!」観客の中からかけ声が上がる。リバートと同国人であり、また1日目終了時点でトップに立っていたスタン・ヴァン・デル・ヴェルデンがちょうどこの観衆に加わった。アメリカ人への声援はまだ聞こえないが、ザック・ホール、サム・スティーン、そしてベン・ランドクビストなどが彼の後ろにつき、静かに仲間の戦いを見守っている。
立て続けにリバートから放たれた《雪崩し》がシェールの《包囲の搭、ドラン》と《叫び大口》をしとめ、それでもマリジンには《野生語りのガラク》をプレイするだけのマナが残されていた。シェールは《地平線の梢》を生け贄に捧げてカード効率を上げ、さらに《樹上の村》で《野生語りのガラク》を攻撃し、忠誠カウンターを1つとする。リバートは《カメレオンの巨像》を場に追加し、そして《野生語りのガラク》のカウンターを2つした。このマッチはまさにシーソーゲームだが、いよいよ状況はベルギー人有利となってきたようだ。
ブランドンは静かに自らの選択肢を精査し、追加の《包囲の搭、ドラン》をプレイすることにした。彼はそのために《低木林地》からのダメージを受け、それは場にいる《極楽鳥》を見ると一見奇妙にも思えるのだが、この才能あるプロプレイヤーは直ちにその理由を明らかにする。この0/1飛行クリーチャーで《野生語りのガラク》を攻撃したのである。《包囲の搭、ドラン》をおかげでこの小さな鳥は偉大なるプレーンズウォーカーの防護を削り取ることが出来たが、リバートは再び《雪崩し》で《包囲の搭、ドラン》を殺し、そのプレイは無駄なものとなってしまった。
未だに劣勢のシェールは対戦相手がさらに状況を悪化させるのをただ見ていることしか出来ず、《カメレオンの巨像》による攻撃があり、さらに《不気味な戯れ児》がプレイされてブランドンの《極楽鳥》が破壊された。アメリカ人プレイヤーは2枚目の《忘却の輪》を持っていたが、しかしライフは5点しかない。リバートが《野生語りのガラク》から2ターンで2体の3/3を生み出すと、シェールは寂しそうに手をさしのべた。
シェール 1-2 リバート
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