ハリウッド・ブロックバスター
ブライアン・デヴィット=マーシャル
マイク・フローレスは週末にスターシティゲームスで行われたメガマジックの結果からスタンダードのメタゲームの現状を調べた。
ハリウッドに行く世界中のプロたちは週末の結果をアテにしていたようだが、プロツアーでお目見えするであろうような予想を超えたデッキは見つかっていないようだ。
トップ・プレイヤーたちというシンクタンクを持ち合わせていないプレイヤーは、フェアリーを選ぶことになるだろう……それなら、もし手に入れられたら?
友人のバイヤーは「《苦花》を1500枚ぐらい仕入れたいよ」と言っていた。
Rock……ではなくセクシーロブスター?
日本のカバレッジレポーターである森慶太から、最近の日本の国別選手権地区予選結果を受け取った(下にTOP8デッキリストがあります)。彼曰く、今は技術のモラトリアムなのではないかと。トップ8には、やっかいな飛行クリーチャーどもがわんさといたが、それらの中で準決勝に入り込んだのはたった1人だけ。これが注目点だと。
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Okada Hiromi - Elves Tokyo Regionals, 1st Place: 7-0
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Honnami Tomoyuki - Doran Tokyo Regionals, 2nd Place: 6 -1
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Ebie Kunisato - Reveillark Blink Tokyo Regionals, 3rd Place: 6-1
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Kudou Amiru - Faeries Tokyo Regionals, 4th Place: 5-1-1
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Akai Satoshi - Faeries Tokyo Regionals, 5th Place: 5-1-1
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Yamashita Hidetoshi - Faeries Tokyo Regionals, 6th Place: 5-2
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Crisler Chee - Faeries Tokyo Regionals, 7th Place: 5-2
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Mizutani Naoki - Juniper Reveilark Tokyo Regionals, 8th Place 5-2
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プロツアー・クアラルンプールで日本人の最高位が22位ということで、最優秀選手であった斉藤友晴は少なくともこのイベントに関して危機感を覚えているという。最近結婚した慶太が言うには(お二人に祝福あれ!)、斉藤はこの事態に対し中村修平、清水直木、三田村和弥、大磯正嗣、高橋優太、渡辺雄也、津村健志、それにこのイベントに向けての予選を通過したプレイヤー達と新しいチームを結成したそうである。
 | | 斉藤は強力な日本人チームをまとめあげた |
慶太は「彼は友人らと”セクシーロブスター”なる新しいチームを組みました」と説明した。無論、ロブスター・ストンピィというのはすぐそこにある未来である。「斉藤には連続でプレイヤーオブザイヤーを得るというとても強い動機がありますが、チームの目的はそれだけではありません。斉藤はプロツアー予選を抜けたばかりのプレイヤーたちを助け励ましていくつもりです」
日本のマジックにとって幸先の悪いスタートとなったクアラルンプールではあったが、私は津村健志から八十岡翔太まで続いているプレイヤーオブザイヤーの流れを斉藤友晴が継続できるかどうか、プロツアーと日本マジックを長年見てきた慶太に尋ねた。
「この素晴らしいシーズンに、過去の人と思われていたジョニー・マジック、ジョン・フィンケルがすばらしい才能を再び発揮しましたが、誰がこれをシーズン前に予想できたでしょうか。確かに日本のトーナメントマジックのピークは2005-2007年シーズンかもしれませんし、マジックを引退したプロもいますが、中村修平、斉藤友晴、津村健志らスタープレイヤーは健在です。したがって、私の個人的な答えとしては『はい、不可能などありません』となります」
現在のプロツアーオブザイヤーレースにおいて、日本人2位は高橋優太である。高橋の背景の話と、彼がこのシーズン中に成果を挙げるための体制が整っているかどうか、慶太に質問してみた。
「プロツアーサンディエゴの決勝、Teamスリヴァーキッズに『毒を盛られ』敗退した日本の双頭巨人戦チームを覚えていますか? その巨人こそが、高橋優太と友人の山本賢太郎によるチームでした。高橋優太は東京近辺では名の知れた新進気鋭のプレイヤーで、その実力はグランプリ静岡2008でも再び証明されました。スタンダードグランプリの決勝で、あのオリヴィエ・ルーエルというスーパースターを相手に『フェアリー・ミラーマッチ』を制する快挙を果たしたのです。個人的には高橋と、2007年ルーキーオブザイヤーの渡辺雄也が日本マジック界のホープだと思いますね」
現在日本において最優秀選手賞レースのトップを走っているのは2006年では次点だった中村修平である。
中村はプロツアーの旅をずっと継続するつもりだと慶太は言う。
「現在の中村にはプロプレイヤーとしてトップであるだけではなく、日本のマジック大使的な役割があります。彼は『マジックプレイヤー的地球の歩き方』という素晴らしい記事を執筆していて、日本語が読めるなら一読をお勧めします。日本語が読めなくても、この記事を見れば彼の旅路とマジック・トーナメント記録をつづったフォト・エッセイであるとわかるでしょう」
「中村も斉藤もこれまでのシーズンと同じく、できる限りグランプリに参加するでしょうから、かなりのプロポイントを手に入れるチャンスがあります」と慶太は言い切った。
「2007シーズンに学んだことといえば、最優秀選手賞を得ようと考えるなら『すべてのグランプリに出ろ』ということです。今年もそれが当てはまるなら、中村にも斉藤にもチャンスがまだあります」
慶太は2005年の最優秀選手津村健志について、万人に愛されたマジック・プレイヤーはここ数ヶ月ペースを落としていると答えた。
「津村はいまだマジックを楽しんでいますが、英語を勉強し始めたことで、フルタイムのマジックプロプレイヤーとは言えなくなりました。ブライアン、あなたがプロツアーで直接インタビューするべきですよ」
地元のチームを応援している慶太ですが、お気に入りのプレイヤーはプロツアー・クアラルンプールの勝者だという。
「私が日本のSideboardで最初に海外のプロツアーを取材したのが2000年の世界選手権ベルギー大会で、『ジョニー・マジック』は私にとって第二のマイケル・ジョーダン的存在となりました。プロツアー・クアラルンプールでの彼のビッグカムバックをビデオカバレージで見て、本当に喜んだものです」
彼のプロツアー・カバレージの記録を振り返って、彼は2つのイベントの連なりを大事にしている。
「私のマジック取材歴でもっとも大事な記憶は2000年アジア太平洋選手権と2005年世界選手権です。彼の友人である森雅也がアジア太平洋選手権に優勝し、世界初の大陸選手権連覇の栄光に輝き……その5年後に、森雅也の弟分ともいえる森勝洋が日本初の世界チャンピオンになりました。私にとってはヨーダとルークの物語のようでした」
アメリカでのマジックの近未来
斎藤友晴がセクシー・ロブスターの協力を受けているように、ここ北米にも強力なチームが幾つも存在する。magicthegathering.comのスティーブン・サディンはズヴィ・モーシュヴィッツ、ジョン・フィンケル、ヤコブ・ファン・ルーネン、クリス・ラハマンといったプロツアー優勝者や、1999年世界選手権トップ8のジェイミー・パーク、その他ジョニードラフトの常連の協力を得てクアラルンプールでトップ16の戦果をあげた。
アメリカ国内のとある場所では、パトリック・チェーピンは昨年の世界選手権で決勝に残って以来初のプロツアーへの準備をしている。あのトーナメントでは、初日完璧な成績を残した青緑に代表されるフェアリー・デッキに注目が集まっていたが、その間隙を縫ったのがパトリックとガブリエル・ナッシフの2人をトップ8に押し上げた「ガシー・ノール」デッキだった。このデッキはこのイベントの間、その本質の部分で無傷であり、色々な追加要素があった。
 | 彼らの「フランチャイズ」なデッキ構築チームの スタンダードにおける再評価を求めるナッシフとチェーピン |
「マーク・ハーバーホルツ、ガブリエル・ナッシフ、それに私、はフランチャイズなんだ」パトリックはデトロイト・ピストンズがプレイオフ・シリーズを制するのを見に行く前にそう言った。「ルイス・スコット=バーガスやポール・チェオンをフリー・エージェントで使うことも実験中だよ。それにチームRIW、つまりミカエル・ヤコブ、DJカストナー、キール・ボゲムはいつでも手伝ってくれてる。他にも文字どおり協力者はいるよ。でも、それは面白い実験なんだ」
ハリウッドに向けてのプレイテストチームに求められるものは何かという問いに対し、パトリックは答えた。「チームごとに目的は異なるんだけど、私のチームはそれぞれの可能性を最大限に発揮していい成績を残す事、そのためにお互いに協力することが目的だよ。この環境を制するために必要なものはと問われれば、その質問は潜在能力を高めるためにどうしたらいいかと言われているようなもんだと思うね。曖昧な答えだとは思うけど、それが真実さ」
イベントのためにその大チームが組まれたわけ
構築戦の準備をするのが大好きなパトリック曰く、「私のチームのプレイテストは、メンバーによって全然異なってくる。だから、自分のことについてだけ話させてもらうんだけどね。今シーズンの最初、私は相殺コマがエクステンデッドで最強のデッキだと確信してた。だからずっとスタンダードに注目してたんだ。この環境を解き明かすためにミカエル・ヤコブやマーク・ハーバーホルツ、ガブリエル・ナッシフあたりと一緒にプロツアー前の2週間ほど取り組んで、擦り合わせをしたよ。ポール・チェオンやルイス・スコット=バーガスとのプレイテストで、それ以外の視点が得られた。ポールやルイスと同じく、キールやDJもメタゲームの分析や他のデッキとの相性分析なんかの協力をしてくれたんだ」
1つのフォーマットにこれだけの時間と人を費やして、パトリックはようやくこの環境に対するいい手応えを得、他のチームが巧くいっていないだろうと思ったという。「ほとんどのプレイヤーは隠れてるコンボデッキを見つけられてないと思うよ。この環境は、フェアリー、アンチフェアリー、それにコンボデッキの三すくみなんだ」
パトリックがハリウッドで注目しているのは?
「個人的には、前のプロツアー以上の成績を残したいね」世界選手権準優勝者はいたずらっぽくそう言った。「私の今シーズンの目標は、年間最優秀選手になって年の最初のプロツアーを跳びこすことさ」
南米の小粒はピリリと辛い
皆が皆大きなチームを選ぶわけではない。パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサは私にこのハリウッドに向けての準備についてそう語ってくれた。彼はチームではなく個人で夢を追い、運良く賞を勝ち取ったのだ。
 | パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサはハリウッドに向けて 実質1人でチームを組んでいる。 |
「今のチームメンバーは、俺と……俺だよ」このイベントに向けてのチーム構成を聞いたところ、パウロは笑いながらそう答えてきた。「スペインのジョエル・カラフェルとデッキやイベントについて色々喋ったから、そういう意味じゃ2人でテストしてたと言えなくもないね。友達だし、同じデッキを使いたいと思ったら協力もするよ」
「ジョエルとプレイする以外に、ハリウッドに行けないけど手伝ってくれたブラジルのプレイヤーともやったよ。それに、マジック・リーグでもやったな。ジョエルにはジョエルのパートナーがいて、結果や思考をお互いに伝えあったんだ」
パウロはプロツアーに向けての準備期間を、斬新なデッキを組むのではなく調整に費やした。彼にとって、自分のデッキや相手が使ってくるであろうデッキを隅々まで知ることは充分有意義だったのだ。
「今ここで、何か珍奇なものを作るなんて無理さ。色んなチームが同じ状況にあると信じて……まあ、願ってるのかな。今世の中にあるデッキを完璧に知り抜くことが王道だと俺は思ってる。この形式では2種類のマッチしかないんだ。一方的か、接戦か。一方的なほうはどうしようもない。だから、できる限り一方的にならないようなデッキを選び、接戦をものにできるようにプレイするのさ。このトーナメントでは、サイドボードそのものより再度ボーディングのためにどのカードを抜いたかが重要になるぜ。だからプレイ中、またカードを引くたびに、何を抜くかを見つけなきゃいけない。それも俺のプレイテストの目的さ」
パウロは構築マジック、特にまだ解明されていない形式、例えばこのブロック構築のようなものが好きで、彼とジョエルはこの形式にとてもいい感触を持っている。デッキデザイナーとしてもシャドウムーアの投入によってさらにかき回された環境を楽しみにしている一方で、プレイヤーとしても未知なる利益をもたらしてくれる。
「相当のポカでもしてない限り、判っているつもりだ」ハリウッドで何が起こるか予想できるか、という問いに対する彼の答えはこうだった。「イベントの2週間前に使うデッキが決まってるなんて、人生で2度目だ。今までよりこの環境を乗りこなす自信はあるさ」
パウロは今までに2回プロツアーのトップ8に進出しており、賞金獲得回数はそれに倍する。去年の獲得プロ・ポイントは40点で、レベル7のプロ・プレイヤーである。彼がこのイベントに、そしてこのシーズンの後半に期待しているものについて聞いてみた。
「目標はトップ8だと言わなければ、嘘になるな」彼はそう認めた。「もちろん、他の連中と同じく、俺の目標は優勝だ。だが、最低限満足できる成績というのは、トップ8だな。このシーズンの目標はレベル7を維持する事で、そのためにいい成績を残さなければならないのさ。今年は去年と違ってGP連戦なんてマネはできないだろうし、前回のプロツアーは散々だったからな」
「ジェラルド・ファビアーノ……さあ、こちらへ!」
これはジェラルド・ファビアーノがロサンゼルスへ行ってプロツアー会場で耳にしたい言葉だろう。彼は地元のプレイヤーたちはもちろん、ラファエル・レイビーやイェルガー・ヴィーガーズマといったプロツアーの古豪たちとも協力してこのイベントに向けて技術を磨いてきた。しかしこのイベントに向けてGPフィラデルフィアの優勝者がしてきた準備といえば、長寿番組「プライス・イズ・ライト」史上2人目のマジック・プロ・プレイヤーになるためのものも間違いなくその一つだ。
覚えている人もいるかもしれない。前回ロサンゼルスで行なわれたプロツアーの際に、ジェラルドはプライス・イズ・ライトのテーピングに行って、一緒に行った(ジェラルド・ファビアーノ・ファン・クラブのシャツを着ていた)マーク・ハーバーホルツがステージに呼ばれ、ダイネット一式、その他小物、それに5000ドルの現金を手にしていた。
ジェラルドはもう一回そういう僥倖に預かりたいと思っている。
「14人か15人で行くつもりさ」とジェラルドは言う。リストにはマークや、ポーカーの世界選手権準優勝者デビッド・ウィリアムスが名を連ねている。「トーナメントを思い切り楽しみたいんだ。トーナメントに行ったことがあるならわかるだろ、全員が勝てるわけじゃない。けど、プライス・イズ・ライトに行ったら、それはそれとして思い出にはなるだろ?」
「あのときは500$ずつぐらい分けて、家具やオモチャはマークのものにしたんだ」ジェラード曰く、最初から賞品の分け方は決めていたのだそうだ。「2005年のことで一番思い出に残ってる瞬間をあげろと言われたら、マークの名前がプライス・イズ・ライトで呼ばれた瞬間だよ。マークにしても、プロツアーで勝ったのと同じぐらい興奮したんじゃないかな」
「もし僕の名前が呼ばれたら、気絶しそうなぐらいに嬉しいだろうね。でも一緒に行った誰かが呼ばれても、同じぐらい嬉しいさ」ジェラルドは今週の夢についてそう語る。もちろん、プロツアーで上手くやる事も今週の夢の一つだ。
そして:PTハリウッド最初のカバレッジは
誰が、そしてどうして、PTハリウッドの第1回戦のカバレッジで取り上げられるのか、ということにはさぞ興味があることだろうと思う。ベテランのプレイヤーたちが既存のデッキをどう練り上げてくるのか、そして踏み固められた道にさらなる一歩を刻むのか。誰が、どんなデッキが、『金ぴかの街』ハリウッドからの最初の報告に名を刻むのか、こうご期待!
ブライアン・デヴィット=マーシャルは、1994年にマジックを探している人に強く揺さぶられたときからマジックに関係しつづけている。彼はトーナメントを運営し、店を経営し、現在はプロツアー史家である。彼の最近の挑戦はTop8Magic.comであり、マイケル・J・フローレスの本を発行している。
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