期すものがある朝にテレビの占いで今日のあなたの誕生月の運勢が最高だなんて言われるとちょっと良い気がしませんか? もしそれがプロツアー初日だったりしたら・・・

 もちろん完全に信じているということではないですが、なかなか無視できないもの。むしろこれをやっておかないとなんとなく気が進まないといったようについついやってしまうものだったりするものです。

 おおよそのプロマジックプレイヤーたるもの、ある程度ジンクスを気にしているはずです。少なくとも私はそうですし、噂ではもっと進んでマジックオカルト研究会やマジック風水教なる怪しげな団体の信者を自認している人々もいるとか。

 私が持っているジンクスの中でも特に意識しているのは

・ジャケット

 3、4年前、常夏のGPシンガポールでジャッジに

「何故、こんな暑いのにお前はいつもジャケットを着ているんだ?」

 と聞かれた事がありました。その時の答えは「私のラッキーチャーム(幸運のお守り)だから」でした。単純にジャケットが好きというのもありますが。もともとは体が弱くてクーラーで体を冷やす事が辛いのでといった理由でしたが、今では大抵のマジックのプレミアイベントではジャケットを着用しています。

 もっとも夏場でよっぽど暑かったりする時は別なのですが、その数少ない例外のGP広島で優勝してしまってるあたりちょっと複雑です。

・トーナメント中、決まった方向の椅子に座る。

 南向きなら南向きで統一。負けたら違う方向に、その為にはなるべく早く着席するのも厭いません。これがフィーチャーマッチの場合だとこれに追加して現実的な利点も加わります。

 フィーチャーマッチ席では専用のシートが装着されている場合が多いのですがライブラリーの場所は固定されていて、私の場合マジックのドローは左利き限定、というか左手でないと違和感を覚えてしまうのでライブラリーを左に置ける方に座りたくて必死となります。

 まさに左置きの場所を求めての椅子取りゲームです

・初手の7枚を取る時、4枚3枚と扇状に並べて2枚2枚3枚と取る。

 マリガンをしている時は2枚2枚2枚、ダブルマリガンなら2枚3枚です。

 これは気がついたらなっていたクセだったのですが今ではやらないと気が済まなくなるあたり、何かの儀式となってるかもしれません。

 何故こんな話から今回の『歩き方』が始まるかというと、今回のウィーンはジンクスに踊らされ続けたといっても過言ではないからです。

 伏線はプロツアー後に行われたGPです。

GPバンクーバー

http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgevent/gpvan08/welcome

 前の週がプロツアー・クアラルンプールだった為、調整時間が限りなくゼロ。

 ですので去年のこのシーズン&直近のPTQで結果を残していたユン・スハン製のバランスデッキを持っていくことにしました。目標は弱気に2日目通過で、ところが初日は絶好調。最終戦までは全勝と当初の目標を上方修正できそうなポジションに。ですがそこから日を跨いで3連敗、1つ勝ちを挟んで更に負けとトップ32に入れるかも怪しい位置になってしまいました。

 そんな時に気分転換にと入ったカフェのホットチョコレートの美味しさに感動。我が人生で一番美味しかったホットチョコレートでした。

 そのおかげもあってか次の試合をなんとか勝ち、30位に滑り込む事ができました。

01

GP静岡

http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgevent/gpshi08/welcome-ja

 グランプリ前日に梅咲君(注1)の紹介で行ったお店の刺身やかき揚げの美味しさに感動。しかし、大会結果の方は残念の一言。

 帰り際にもう一度、かき揚げ丼を食べて改めて感動。

 そんな事をネタにカワサキさん(注2)達と話していた出発前日の事でした。

 その日はタカラトミーの森 慶太さん(注3)や窪内君(注4)、カワサキさんが、相模原で新関さん(注5)達が起業した漫画喫茶「ドリームカフェ」にて、たまたま打ち合わせしているというのでお邪魔させてもらった時です。

 結構な時間が過ぎた事だし、近くの某ファミリーレストランでこの続きを、という流れになりました。その時、ここ最近のグランプリ道中での食べ物の話なんてしなければ良かったのかもしれません。或いは、「サイゼリアにしましょう」とでも主張しておけば、また違った未来があったかもしれません。ですがこの時、ガストの門を潜ってしまったのです。

 ですからこの展開も必然だったのでしょう・・・

GG

 マジックオンラインの世界でこれほど使われている言葉はありません。

 「Good Game」。その頭文字を取ってGGなのですが。

 裏腹に突然、GGと言われた後に本体に10点の《火の玉》とか、土地が事故って負けたのに対戦相手からGG発言など、「何処がGGやねん!!」としか思えないシチュエーションで言われる事が多発する、マジックオンライン界で最も忌み嫌われている言葉といっても過言ではありません。

 本当にGGと言えるような試合もあるんですけどね。そういう時は負けた方からGGと切り出すのがマナーってものです。

 その時、我々の前に登場した恐るべき食べ物、その名はGGハンバーグ。

02

 G(グレイヴー)なG(ガスト)ハンバーグらしいのですが、ウィーンの未来を暗示しているようで果てしなく不吉です。

 しかし、そんな私と違って嬉々としてメニューを片手に相談している二人がいます。カワサキさんと慶太さんです。

 そんな些細な事は、言葉について日々研鑽を重ねるカワサキさんと慶太さんの前では格好のお題目。夕飯ですが朝飯前っていうところ。そんな物は見立て次第。むしろ如何に捻ってGGを喰らってやろうかなんて丁々発止の検討に入っています。

 と言ったわけでもなんでもないファミレスのメニュー選びが真剣勝負となってしまいました。

 これ次第でウィーンが勝てるかどうかまであります。

 あなおそろしや。5分に渡る沈思黙考の結果、数あるGGメニュー達から私が選んだのはダブルGGハンバーグ。

 マイナスも2乗すればプラスに変化しないかなぁ、という見立てで「2マッチが終了」という見方には目をつぶる形だったのですが、見立てマスターの両氏の採点的にはかろうじて及第点。ちなみにカワサキさんの正解見立ては麻婆GGハンバーグだそうです。理由も聞いたのですが正直奥が深すぎてついていけませんでした。

 さてそんな茶番はともかく打ち合わせ・・・、という名のやっぱり茶番を朝までガストでした後に、一路成田空港まで。今回の旅の仲間はいつものトモハル(注6)に高木ユイ(注7)、大学の卒業旅行も兼ねての参加です。そこから韓国経由で都合16時間。ウィーンに到着です。

GPウィーン

http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgevent/gpvie08/welcome

 ヨーロッパに行く時のいつもながらの簡単な入国審査を経てタクシーでホテルへ。

 チェックインしてすぐさま前日登録をしに会場まで行く事にしたのですが、外は生憎の雨模様。傘なんて持ち合わせて無いので小走りで会場と思われる所まで。会場やホテルがある21区はドナウ川の中州にあるのですが、国際連合ヨーロッパ本部が置かれていてこの区画自体も国連都市という名前がついています。何処かで見たような旗や、頭文字の連なり、エムブレムに遭遇しつつ警備員に追い返されたりを繰り返し、3回目でようやく当たりを引きました。会場のウィーンコンベンションセンターに到着です。

 クアラルンプールで話した時に、ウィーンのガイドを請け負ってくれたクリスティアン・ガレロビッチさん(注8)に再会。

 ガレロビッチさんはウィーン在住の大学講師・ジャッジです。ヨーロッパのGPで何度か顔を見たことがあった程度だったのですが、シュトゥットガルドを機に話すようになって今回はガイドの申し出をしてくれることになったのです。この日はレジスト日という慌しさもあって挨拶と軽く近況報告、それとスケジュールの確認を。グランプリが終わった後の火曜日だと都合が良いとの事で、その日にガイドを引き受けてくれることになりました。

 他にも見知った顔に挨拶。オリヴィエ(注9)やレヴィ(注10)、ワフォタパ(注11)といったフランス人プレイヤー達にオランダ人プレイヤー達。今回はオランダ勢のほとんどが欠席と少し寂しいGPとなってしまいました。それに前回のシュトゥットガルドではプレイヤーとして参加していたライターのベン(注12)やモックスラジオのリッチハーゴン(注13)、そして1週間ぶりにティム(注14)にも。皆、まず第一声に「顔、どうしたんだ?」と聞いてきます。

 というのも、ウィーン出発前夜まで小室 修が企画したスキー旅行に参加していたのですが、UVケアもせずに調子にのって滑り続けた結果、ウィーンに着く頃には顔の皮膚がボロボロになってました。オリヴィエがニヤニヤしながら私の顔のことを皆に言いふらし、その火消しに追われたりしてる間に閉館時刻。ティムたちと近くのステーキハウスまで夕食を。

03

 ユイ君と注文をスプリットしたのですが、これは大失敗。

ウルトラサイズハンバーガー+ガーリックマッシュポテト+オニオンリングを頼んだのですが、どれも溢れんばかりのジャガイモがあって結局食べきれず。

 ジャガイモの山の前に投了中の私にティムが『カミカゼいっとく?』と挑戦が。ドリンクメニュー、ワンショットグラスの欄に燦然とKAMIKAZEとあります。ここで受けねば男がすたります。後事をユイ君に託してワンショット勝負です。

 結果の方は言うまでも無くです。普段カクテル1杯でダウンする酒の弱さで勝てるべくもなく。

 口当たりは、初めにサクランボの味がして軽め!? と思った瞬間にドカッとくるものがありました。なんとか宿まで帰り着きましたがやろうと思っていたサイドボード製作などできる筈もなく。

 翌朝、なんとか二日酔いにもならず起床する事ができました。

 初めに書いたとおり、私はかなりジンクスを気にする性質です。今回もご多分に漏れず恐らく良さそうだろうなと思うことを片っ端からやっての参戦です。

 おまけにホテルから会場までの通り道にあった教会にまでお参りもかかさずオカルト的なものにも余念がありません。その甲斐あってか、幸先良いのかどうかは解りませんがBYE明けの初戦、いきなりフィーチャーマッチに指定されました。

 ジンクス的には開幕フィーチャーマッチは良いも悪いも特に無いのですが、今回の使用デッキはGPバンクーバーに引き続きバランスです。奇襲デッキなのでデッキがバレると威力半減です。ちょっと嫌だなと思ったら対戦相手のデッキは更に意表を突く4色クリーチャーデッキ。終わった後だからこそデッキの構成も予想がつきますが、その時は何が入っているか見当もつかず戦々恐々でした。

 1ゲーム目は対戦相手が土地を倒しきった隙に《腹黒い夢》から《うつろう爆発》《ドラコ》で先取。

 2ゲーム目は《土を食うもの》をプレイしつつ、生贄に捧げる事で白マナを発生できる土地2枚を立てた状態で、《火+氷》《オアリムの詠唱》《遺跡発掘現場》を手札に残し、ライブラリーの上に《平等化》

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 次のターンに《遺跡発掘現場》を置いてからの《オアリムの詠唱》《平等化》という流れを用意するために、相手のターンに《火+氷》である程度対応。そこでもし、相手のターン中に場にある《師範の占い独楽》をタップしてドローに代えるようなら、そのスタックで《オアリムの詠唱》を撃って、直後に出てくるであろう《翻弄する魔道士》を封じるプランです。

 ターンを相手に渡すと、予想通りアップキープステップ中に《氷》をこちらの土地に打たれ、プランBが残ってるしまあいいか…と考えていると、相手のメインフェイズに独楽のタップ起動につい『OK』と言ってしまいました。

 優先権の関係で「能力の解決」をここで了承してしまうと、こちら側には魔道師のプレイを防げません。気がついたときには後の祭りです。《翻弄する魔道士》はプレイされてこのゲームを落としてしまい、第3ゲームはマリガンからの上手く展開できずに終了。

 今思えばここが分岐点でした。

 これに後から何処をどう検討しても勝てなかった試合×2が加わって通算3敗で初日落ち。

 GGが二つ。そして、静岡とウィーンのダブルGGという見事な「落ち」までついてグランプリ・ウィーンは終わってしまいました。

 やはりあの時は麻婆だったのか・・・

日曜日

 トモハルが1敗、ユイ君は1敗1分けで初日を通過しているので一人、昼過ぎまで寝た後でハウスキーピングにギリギリまで待ってもらって会場へ。丁度、予選ラウンドの最終戦らしくてハーゴンにトップ8のメンツとデッキを聞いたところ、大量のドレッジデッキという答えが帰ってきました。トモハルがIDでトップ8を確定。

 ユイ君の最終戦を見届けた後、ユイ君と一緒に暇つぶしにマネードラフト・・・、は相手が見つからなかったのでサイドイベントで行われているドラフトに参加。手持ちのカードで1枚足りなかった《ヴェンディリオン三人衆》をレア取りしつつ3-0でき、ドラフト用のパックも確保したのは良かったのですが、そのパックでドラフトをしてみると1パック目で《野生語りのガラク》、2パック目で《思考囲い》が出てきてかなり損した気分です。

 おまけに相手チームのルードの流したガラク込みで緑独占と凄い状況になっていて、呆気なく3-0されて負け。折角の中国語版だったのですが、残念。

 決勝に残ったトモハルですが準決勝で1ゲームに5回マリガンで負けてしまったとの事。

 それからトレードに忙しいようなのでトモハルとは別行動で、レヴィ&イェルガー(注15)&ルード達と夕食を食べに行く事にしました。会場のすぐ近くの電車、U1号線を使うのまでは同じですが金曜日とは逆の方向に数駅、街の中心部にあたるシュテファンプラッツ駅で降りたところにあったのは、寿司とチゲとナシゴレンが混在する摩訶不思議なアジアン料理店でした。まあ、日本人も東南アジア系の料理をどれも一緒に扱うのと同じようなものかもしれませんね。その中でレヴィにユニオンに関連しての興味深い話を聞くことができました。

 現在、レヴィはブライアン・デヴィット・マーシャル(注16)と新たなプロジェクトに取り組んでいるとのことです。それはグランプリでもプロツアーでもない、新たな高額賞金大会の立ち上げです。まだ構想段階の話でスポンサー集めの段階だそうですが、

・1年に1回の開催で第1回はニューヨーク開催予定。

・賞金額はグランプリとプロツアーの中間程度。

・参加するのが目的では無く、もっとシビアなトーナメントマジックの場にしたい。

 といったものです。

 また、それに関連してどれくらいの賞金分配になれば日本人も参加する気になるかというような質問をされました。個人的には1位が100万円以上、トップ16で参加費をペイ、トップ8以上でプラスになれれば魅力あるものだと思うのですが、皆さんはどう思われますか?

 そんな事を話してたのですが、気がつけば終電も近くなりここでお別れ。

 次に会うのはブリュッセル。シャドウムーアが入ってからのリミテッド戦となります。

月曜日

 静岡、ウィーンと連続してグランプリでプロポイントが取れなかったのはかなりショックでしたが、いつまでも気落ちしていても始まりません。もう一つの目的「See the World」の方はまだ手付かずなのです。

 今回はハプスブルク家の居城、音楽の都、ウィーン。そしてユイ君の卒業旅行という事もあって帰りは水曜日発といつもより多めに日を取っています。

 連日の疲れもあって起きる時間は遅めです。朝食の期限ギリギリに起きだして朝を食べつつ今日は何処に行くかを検討の結果、今日はウィーン郊外にある夏の離宮。シェーンブルン宮殿に行く事にしました。

 会場近くのIntCentre駅からU1線に乗って南に。それからカールスプラッツ駅でU4線に乗り換えてヒーツィンク駅に到着したのは良いのですが、いつの間にか外は雨模様。グランプリ開催中はあんなに晴れていたのに、雲行きが怪しくなったと思ったら急に降りだしてしまいました。

 雨を凌ぐものも何も持たずのこの状態でこのまま強行軍はさすがに辛いということで、駅近くのカフェで雨宿り。私はお茶を頼んだだけだったのですが、二人は軽く食べるつもりで注文したら、思ってた以上にボリュームがあるものが出てきて少し早い昼食となってしまいました。

04

 食後のトモハルの一服も終わった頃、ようやく雨も一息ついたようです。ということで改めてシェーンブルン宮殿まで駅を一つ行き過ぎて裏門から入る形となったのですが、さすがはヨーロッパの盟主が住んだ宮殿、敷地に入ったのは良いのですが行けども行けども庭が続いていて中々屋敷までたどり着けません。

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 止んでいた雨もまた降りだして靴の中にまで水が入り込んできたあたりで、やっと建物らしきものに到着。したのですが入り口である正面玄関には更にここから建物に沿って半周、ようやくの到着です。10ユーロとちょっと日本円の感覚からは高い入場料を払って中を拝観です。

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 ハプスブルク家はスイスの小貴族から始まり主に婚姻関係での相続によって最盛期には現在のオーストリア、ハンガリー、セルビア、ベルギー、オランダ、スペイン、ポルトガル、スイス、イタリアの北半分にドイツの一部と文字通りヨーロッパを支配したヨーロッパの名家中の名家です。イギリスのエリザベス1世と争った、スペイン王フェリペ2世。ブルボン朝の下で中央集権体制を確立したフランスとの激しい覇権争いの末、講和。その証としてルイ16世に嫁いだ女帝マリア・テレジアの娘、マリー・アントワネット。皇太子フランツ・フェルデナントが暗殺されたことが第1次世界大戦の契機となるなど600年あまりの歴史の中でヨーロッパのキーパーソンを輩出しつづけた家でした。

 そんな名家の宮殿というわけですから部屋のそこら中に謂れがあります。オーディオガイドが無料で借りれるのですが説明が長すぎて聞いてるだけで疲れてくる代物でした。

 個人的な感想なのですが、時代が近いという事もあるのでしょうか、パリでの世界選手権の時に見に行ったヴェルサイユ宮殿に中の構造がとてもよく似ています。そういえばヴェルサイユ宮にも果てしなく広いブロックごとに構成された庭があって、そういう意味でも造りが似ています。

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 一部屋一部屋ごとに趣向が変わっている上に豪奢な造りで見る分には興味深いのですが、実際に住むとなるとすごく住み辛そうという感想も同じです。なによりも、部屋と部屋を繋ぐ廊下のようなものがありません。2つ隣の部屋に行こうとするなら部屋を一々横切らないのといけないという、今の感覚だと酷く面倒なことをしなくてはなりません。プライバシーとかゼロです。その上、皇帝にもなると朝から晩まで仕事づくめだったとか。昔の王侯貴族もそれなりに大変な暮らしだったんでしょうね。

 さて、シェーンブルン宮殿見物も終わり時間もすっかり夕方、カールスプラッツまで戻るついでにホテルザッハーのカフェで名物のトルテを食べることに。

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 ガイドブックによるとチョコレートトルテの定番ザッハートルテとはここのオリジナルトルテだということ。

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 「これは食べねば」ということで注文。ホイップクリーム付きで甘党には満足の一品でした。

 ですが、ついでに頼んだホットチョコレート with ラム酒が強烈でした。

 アルコールが強すぎてどちらかというとラム酒にホットチョコレートが混ざっていると言った方が正確な一品。酒に弱い私とユイ君にはとても飲める代物ではありませんでした。

 この日の観光は酔っ払い2人が出たこともあってここで打ち切り、ホテルに帰った後夕食も摂らずそのまま寝入ってしまいました。

火曜日

 今日はガレロビッチさんがウィーンをガイドしてくれる日。

 シュテファンプラッツ駅から地上に出ると目の前にあるシュテファン大聖堂の正門前で10時半に待ち合わせです。が、朝に目を覚ますと外は吹雪でした・・・

 今回、天気にはひたすらに祟られている気がします。

 これにはトモハルが大幅テンションダウン。しばらくゆっくりしたいとトモハルとは別行動を取る事になり、ユイ君と二人でシュテファンプラッツ駅へ。予定通りガレロビッチさんと合流できました。ガレロビッチさんも朝雪が降っているの見て驚いたそうです。ウィーンで3月に雪が降るのはかなり珍しいらしいです。見たいところのリクエストを聞かれて、とりあえず王宮と美術史博物館は是非とも見ておきたいと答えました。ついでに目の前にあるシュテファン大聖堂もリクエスト。

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 ガレロビッチさん曰く、ウィーンで一番有名な教会だけど今まで入ったことがないらしいです。私も住んでいるところが大阪と京都の府境なのですが、滅多に京都のお寺に行かないので、その気持ちはよく解ります。せっかくなので尖塔に登ってみる事にしました。

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 屋上までのエレベーター4ユーロ也。塔の上まで登ってみると、そこはまた吹雪いていました。さっきまで収まっていたのですが、また雪が降りだして寒いです。見晴らしという意味でも、足場がという意味でも絶景なのですが、とにもかくにも寒いので足早に撤退。それから、大聖堂を裏手に廻ってモーツァルトハウスに。引越しを繰り返したモーツァルトですが、その中でオーストリアで居住していた家の一つがモーツァルト記念館として改装されている建物です。『フィガロの結婚』の作曲はここで行われたらしいです。

 直筆の楽譜が展示されてたり、ここで初めて知ったのですが、モーツァルトが秘密結社フリーメーソンの会員だったというのが一フロア使って説明されていました。ワンフロアも使ってるのはやはり『ダ・ヴィンチ・コード』の影響なのでしょうか。

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『モーツァルトの入会状』だそうです

 そこからガレロビッチさんと20年ほど前のモーツァルトの映画『アマデウス』についてとか、しばらくウィーンを題材にとっている映画の話をしながら針路を西向きに、旧城砦跡や初期近代建築の傑作、郵便貯金局、首相官邸などを横切りながらウィーンで現存しているもっと古い古道なんかを通ってお勧めのホットドックスタンドで小休止。

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 鉄板にのったソーセージを注文すると切り分けて皿に盛り付けてもらえます。お値段は一つ2〜3ユーロと手ごろでしかも旨い。特にチーズ入りのソーセージは絶品でした。付け合せのパンは無料。付け合せはマスタードとチーズのようなものなんですが、味はショウガを強くしたようなもの。初めはびっくりしますが、慣れると結構良い感じです。お土産のトラップにも良いかもしれません。

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 ユイ君が飲んでいるのはアルムドゥードゥラーと言って、レモネードの炭酸バージョンみたいなものです。ガレロビッチさんに勧められてだったのですが、これ以降ウイーンを出るまでずっと飲んでいました。朝5時開店の翌日朝4時閉店と1日23時間営業で勤め先の大学からも近く、よく利用するんだそうです。

 気がつけば3時も過ぎた頃、空もいつの間にか快晴になっています。路面電車を使って移動時間短縮し、目的地の真北にあるカール教会からは歩いて行く事にしたのですが途中で面白いものを発見しました。

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 桜です。

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 まだ3月序旬だというのに桜が満開です。ここの桜は元々は日本の宝塚市から贈られたものという石碑がありました。

 そういえば、ここウィーンではいたる所で桜を見ます。特に印象に残ったのはここ、カール教会前の公園にあった桜と会場近くの国連本部、正面玄関前の塀で区切られた箱庭に1本だけの桜がライトアップされていたのが鮮烈でした。案外オーストリア人も桜好きが多いのかもしれません。

 市庁舎、ブルク劇場に国会議事堂と南下しつつマリアテレジア広場の南翼の建物、美術史博物館に到着です。

 建物込みでハプスブルク家のコレクションが母体なだけあってなかなかすごいです。豪奢な入り口からそこら中に何処かで見たような作品があります。

 フィレンツェのウフィツィ美術館から気になっているガラヴァッジョの作品や、レンブラント、ラファエロなどなど。ルーベンスの『聖フランシスコザビエル』だなんて『フランダースの犬』+日本史の組み合わせですよ! そんな中で私が一番見たかった作品はこれ。

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 フェルメールの『画家のアトリエ』です。

 もう少し見て廻りたかったのですが絵画コレクションだけで18時過ぎ。閉館時刻になってしまいました。さて、そろそろ夕食というところで、ガリロビッチさんの携帯に着信が。南アメリカのジャッジ仲間で今はスペインに短期滞在しているカルロス・ホー(注17)が合流したいとのことなので近くのカフェ、ミュージアムカフェで待ち合わせ。

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 ウィーン式のカフェのマナーとコーヒーの作法を教えてもらってる間にカルロスが到着。

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 シュテファン大聖堂近くのオーストリア料理店に。

 ガリロビッチさんの説明によると、オーストリア人は近くの国の料理で気に入ったのがあるとすぐそれを取り入れてしまうので純粋にオーストリア発祥の料理というのはほとんど無いそうです。

 私が頼んだビーフシチュー、フィアカーグラーシュも元々はハンガリー料理。

 付け合せの小麦粉の蒸しパンのようなクネドリーキはボヘミア料理。

 ユイ君とスプリットして頼んだチーズの揚げ物クランベリージャム添えはスイス発祥。

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 飲み物はアルムドゥードゥラー。これだけが純粋なオーストリア発祥らしいです。

 思いの他、揚げチーズとクネドリーキが重くて残してしまったのが悔やまれます。

 酒も入りつつカルロスも加わってジャッジングの話や、日本のジャッジについて、ガリロビッチさんの勤め先のボス、数学教授の話、テニスの審判に習って各国の汚い言葉を収集していることとか。また、イタリアとイギリスでは女性プレイヤーの数が20〜25パーセントもいるといったことや、果ては日本と韓国、中国の微妙な関係がちょうどドイツとロシアの関係に似ていると言ったことまで・・・

 気が付くと日付が変わるくらいまで話し込んでしまいました。

 名残惜しいですが終電の時間です。次に会えるのは5月のブリュッセル。

 別れ際に次回のGPマドリッドでは、今マドリッドに住んでいるカルロスがもし良ければ情報を提供してくれるという事で、メールアドレスを交換しあってシュテファンプラッツ駅でお別れです。

21

 ガレロビッチさん、ありがとう。

水曜日

 出発までまだ少し時間があるのでホテルに荷物を預けてシュテファンプラッツ駅までお土産を買いに。前日、教えてもらったハース&ハースというお茶の店で買い物。それでもまだ少し時間が余ったので王宮内にある王宮宝物殿を見てる間に飛行機の時間がやってきました。

 まだ、見てみたかったものもありますがここで終わりです。ウィーン空港から日本まで16時間を越えるフライトです。

 ウィーンは素晴らしい街でした。是非また訪れてみたいですね。

 次回はGPブリュッセルを予定しています。

 それではまた世界のどこかで

中村 修平


■中村 修平的注釈

注1 梅咲君(うめさきくん)
最も新しいレベル3ジャッジにして自他ともに認める重度のシスコン。今度妹さんの写真を見せてください。

注2 カワサキさん(かわさきさん)
タカラトミー公式サイトでもお馴染みのライター。

注3 森 慶太(もり・けいた)
タカラトミー公式サイトをはじめ、慶太さん抜きでは日本のMTG界は何も廻りません。

注4 窪内君(くぼうちくん)
大阪にアデプトがあった頃からの付き合いです。SSDなんてチームで一緒にグランプリ出たこともありました。

注5 新関さん(にいぜきさん)
GP静岡中に漫画喫茶「ドリームカフェ」をオープン。
おめでとうございます。

注6 トモハル(ともはる)
斎藤 友晴。現POY。今年はトレーダー業にも力を入れるとのこと

注7 高木 佑維(たかぎ・ゆい)
通称ユイ君。医師試験も終わり、今回は卒業旅行も兼ねての旅路に。
来年度からは研修医として社会人デビューの予定。

注8 Christian Gawrilowicz(クリスティアン・ガレロビッチ)
ウィーン在住のジャッジ。
現在、日本語を勉強中。話せるレベルになったら日本のGPも行ってみたいとのこと。

注9 Oliver Ruel(オリヴィエ・ルエル)
プレイヤーレベル8。
去年から日本語を勉強しているのですが、簡単な日本語なら既に話せるレベルに。GP静岡で準優勝。

注10 Raphael Levy(ラファエル・レヴィ)
プレイヤーレベル8。
最近はユニオンの立役者としての顔となってます。

注11 Guillaume Wafo-Tapa(ギヨーム・ワフォ=タパ)
PTクアラルンプール トップ8、PT横浜 優勝。

注12 Ben Coleman(ベン・コールマン)
MAGICTHEGATHERING.COMのライター。物静かなキャラなのですがスタッフの中では酔ったら一番面白いかも

注13 Rich Hagon(リッチ・ハーゴン)
モックスラジオの人。クアラルンプールではBDMの代役としてウェブビデオデビュー。

注14 Tim Willoughby(ティム・ウィロウビー)
イギリス在住のライター。静岡にも来ていました。日本のシューティングゲーム『斑鳩』好き。

注15 Jelger Wiegersma(イェルガー・ウィグラーズマ)
PTシアトル優勝。
今年のPOY予想で私に賭けているらしく、私がPOYを取ったらディナーをご馳走してくれるらしいです。

注16 Brian David-Marshall(ブライアン・デヴィット・マーシャル)
ニューヨーク在住のアメリカ人。通称BDM。
毎週金曜日にMAGICTHEGATHERING.COM上プレミアイベントのコラムを連載中。

注17 Carlos Ho (カルロス・ホー)
ガレロビッチさんの友人。
南米唯一のレベル2ジャッジで、国別選手権の時は国から国へと大忙しらしいです。


中村 修平(なかむら・しゅうへい)

 プロツアーはもちろん、当然のようにほとんどのグランプリを転戦しているという国際派プロプレイヤー。

 プロツアー決勝ラウンドに4回進出している強豪で、ことリミテッド戦となると日本人で最強という海外勢の評もある。2006年7月に発売したコールドスナップを使用したリミテッド環境における強さは特に圧巻で、ふたつのグランプリで連続優勝という快挙を果たしている。

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