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―初心者のあなたのために、真木 孝一郎がテーマデッキを取り上げ、オルゾフ=ギルドの深い世界へとあなたを誘います。また、このギルドの特徴の紹介やデッキ使い方のヒント、さらには同じコンセプトを昇華した構築レベルのデッキの作り方もご紹介します! |
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『オルゾフ法典』デッキ
ギルドパクト・テーマデッキ
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オルゾフ=ギルドの特徴
白は法や秩序を色で、黒は歪みと犠牲の色。ステレオタイプ的に分類するなら、白がヒーローで黒は悪代官となる。この、まるで鰻と梅干しのように食い合わせの悪い二つの色を、打算と謀略という接着剤でもって無理矢理結合させたのが、オルゾフ「取引」ギルドだ。
この関係は、カードを見てもよく分かる。例えば、《金切り声の混種》というカードがある。コストが白2の飛行クリーチャーで、サイズは2/1だ。白は青の次に飛行能力に優れる色で、また低マナ域のクリーチャーの質に優れる色でもある。このカードは、その特徴を良く表現している。
しかし、そのコストの支払いに黒マナが使われると途端に話がおかしくなる。すんなりと「白って本当に素晴らしいですよね」とは語れなくなる。先ほどまで白を象徴する素敵クリーチャーだったはずの《金切り声の混種》は、口元から邪悪な牙をにょきりと伸ばし相手の手札を憎々しげに狙いはじめるのだ。
《不眠の晒し台》だってそうだ。元々、これは《平和な心》というエンチャントのはずなのだ。《平和な心》は白1でくっつけるエンチャント・オーラ(クリーチャー)で、エンチャントされたクリーチャーの攻撃とブロック参加を禁止する力を持っている。戦闘で傷ついたりしたら、せっかく産んでくれた親御さんに申し訳ないという優しさ120%で作られているカードだ。
それなのに、あぁそれなのに。どこからかコストに黒マナが忍び込んだことからまたもや話は急転直下だ。優しさで出来ていたはずのカードには、「アップキープに1点のライフを失う」という毒が織り込まれる。これじゃまるで、助けた振りして金利を貪る高利貸しじゃないか。
キーワード能力 憑依
オルゾフ=ギルドに与えられた特殊な力が「憑依」で、死んだはずのクリーチャーや、使い終わったはずの呪文が、何故か他者の死を引き金にもう一度発揮されるものだ。このオルゾフ法典デッキには、「憑依」を持つクリーチャーが3種類投入されている。《オルゾフの安死術士》に《盲目の狩人》、そして《鐘楼のスピリット》だ。では、《盲目の狩人》を例に「憑依」クリーチャーの使い方を説明してみよう。
1)場に出たとき、まず一回目の発動
《盲目の狩人》は、場に出ると「対象のプレイヤーから2点を失わせ、あなたには2点のライフを与える」力を発揮する。この時点では、他のクリーチャーが持つ「場に出たとき○○する」という力となんら代わりはない。
2)死ぬとき、他のクリーチャーに憑依する
ここが、「憑依」クリーチャーと他で完全に違うところだ。普通のクリーチャーは致死ダメージを負ったり、破壊されると墓地に置かれる。しかし、「憑依」クリーチャーはただでは死なないのだ。墓地におかれるとき、場にある他のクリーチャーAを対象とし、それに「憑依」しようとする。これが解決されれば、「憑依」を持つクリーチャーである《盲目の狩人》がゲームから取り除かれ、「憑依」成功。
ただし、これはあくまで「憑依」の成功であって、それ以外に何かが起こるわけじゃない。それが起きるのは次のステップだ。
3)「憑依」されているクリーチャーが死ぬと、二回目の発動
「憑依」されているクリーチャーAが、場から墓地に置かれると、「憑依」しているクリーチャーの能力がもう一度発動する。つまり、《盲目の狩人》の「対象のプレイヤーから2点を失わせ、あなたには2点のライフを与える」が発動するのだ。
注意点をまとめておこう。
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・憑依するクリーチャーは、誰のでもいい。
・「憑依」されているクリーチャーが場を離れると、憑依は無効となる。
・1体のクリーチャーに複数が憑依してもいい。
・憑依する適正な対象が無ければ、憑依は行われないのでゲームから取り除かれることもない。
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『オルゾフ法典』デッキの戦略
オルゾフ法典デッキが用いる戦略は、多角的な相手ライフの搾取だ。単純一本槍な攻撃の場合は、それを防がれてしまうと終わりだが、このデッキは違う。正面を封じられれば横、横を封じられれば裏と、あらゆる角度から相手の隙を狙えるのだ。
基本的な動きはジャブの連打。相手のライフが20しかないのだから、1点だろうと20回蓄積すれば任務は完了だ。相手の攻撃を上手くそらしながら、着実に相手のライフを削っていこう。時には受け流せない程の圧力を受けるかもしれないが、そんな時はルサルカや《思考抜きの魔女》の力を借りて、戦力を減らしながらでも明日の戦いに備えよう。《オルゾフの御曹子、テイサ》が生き延びているならば、相当長い時間持ちこたえられるはずだ。
それでは、一枚一枚のカードをそれぞれの役目毎に分類しつつコメントしていこう。また、特に構築戦でも活躍が期待できるカードには○印を付けているので参考にしてもらいたい。
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「生け贄実行部隊」
・《殉教したルサルカ》
・《病に倒れたルサルカ》
・《思考抜きの魔女》
彼らの仕事は、他のクリーチャーの二次利用と、憑依能力の発動だ。このデッキには、《金切り声の混種》のように場に出れば既に一度仕事を終えているクリーチャーや、《オルゾフの安死術士》のような憑依能力保有者、《感染性の宿主》のように墓地に置かれると能力を発動する生物なんかがわんさかいる。それらを最も上手く利用するのが、この「生け贄実行部隊」だ。
戦闘でダメージスタックを終えて死を待つばかりの瞬間や、ここぞというタイミングで、バシバシ生け贄に捧げて相手を苦しめよう。
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「航空部隊」
・《哀悼のスラル》
・《金切り声の混種》
・《盲目の狩人》
・《鐘楼のスピリット》
○《骸骨の吸血鬼》
的確に空から相手のライフを狙う。それが彼らに与えられた使命だ。序盤を担うのは《哀悼のスラル》《金切り声の混種》《盲目の狩人》といった面々。パワーが1だからって、《哀悼のスラル》を甘く見ちゃいけない。このスラルには、相手のライフを削る以外にも自分のライフを危険水域から遠ざけることで任務完了までの時間を稼ぐという大事な役目があるのだ。例えば、仮に相手の2/2と殴りあった場合、通常なら2点ずつ減るところが《哀悼のスラル》さえ居れば毎ターン1点で済む計算になる。更に、次に説明する防衛部隊の活躍で相手の攻撃が止まるようであれば、逆に増え出すのだ。
《盲目の狩人》も似た性質を持つ飛行生物だ。召喚するだけで相手のライフを2奪い、自分は2増やす。しかも憑依持ちなので、危険が迫れば相手の攻撃を受け止めつつ更なる2点の吸収を狙うこともできる。
ターンが進行したら、いよいよ《鐘楼のスピリット》や《骸骨の吸血鬼》の出番だ。どちらも単なる飛行クリーチャーじゃなく、複数クリーチャーからなる集合体なので相手にとっては厄介極まりない存在。一気に相手のブロック網を突破してもいいし、その個体数を利用して「生け贄実行部隊」との共同戦線も可能だ。
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「防衛部隊」
・《木戸番スラル》
・《完全無欠の魂》
・《オルゾフの安死術士》
・《オルゾフの御曹子、テイサ》
・《ギルドパクトの祝祭》
・《不眠の晒し台》
○《屈辱》
攻撃中にきっちりと本陣を守るのは彼らの役目だが、その多くが単なる守備役に終わらず攻撃する刃をも隠し持っているのがオルゾフ法典の大きな特徴だ。
例えば、地上生物を食い止める《完全無欠の魂》は受けた分のダメージを相手ライフから直接失わせる。《不眠の晒し台》は敵クリーチャーの戦闘能力を完全に奪いながら相手に射撃する固定砲台へと変える。

《オルゾフの御曹子、テイサ/Teysa, Orzhov Scion》
また、《オルゾフの御曹子、テイサ》はこのデッキにおいて非常に重要なポジションにある。彼の能力は、白クリーチャーを3体生け贄にすることで、対象クリーチャーをゲームから取り除くことで、このままでは単なる3対1交換となってしまい芳しくない。しかし、そこでもう一つの力が効いてくるのだ。彼が場にある限り、自分の他の黒クリーチャーが墓地に置かれると白い1/1飛行トークンが誕生する。つまり、最初の能力の生け贄を全て白くて黒いマルチカラー生物にした場合、生け贄にした3体分の飛行トークンが誕生するのだ。これならば、3対1は0対1交換になったも同然で、しかも全てが飛行トークンなのでそのまま攻撃にも使えてしまう。また、これは「生け贄実行部隊」が黒いクリーチャーを生け贄にしたときにも同じことが言える。1つの黒いクリーチャーを2度の生け贄に使うこともできるし、生け贄にした上で攻撃用の飛行クリーチャーに変えることも出来るのだ。
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「ライフ直撃部隊」
・《オルゾフのギルド魔道士》
・《仮面の工作員》
・《毒腹のオーガ》
・《感染性の宿主》
・《風切る瘴気》
直接相手のライフを狙う気満々な輩がこいつらだ。コスト的に見たサイズは普通以下だったりするので、肉弾戦での活躍は期待できないが、ライフを奪う分野に関してはエキスパート。相手を想定外の方法で苦しめてくれる。
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「特殊任務部隊」
・《不死の断片》
○《酷評》
相手の手札を攻撃することで、将来の安全を確保するのが彼らの任務。《不死の断片》は前作ラヴニカ:ギルドの都で登場したお馴染みのカードで、相手の手札を2枚奪いながら防衛能力を強化する。前述の《完全無欠の魂》なんかに装着すれば、地上の攻撃はほぼ完全にシャットアウトできるだろう。
《酷評》は、《困窮/Distress》をより強力にしたカードで、選んだカードが墓地ではなくゲーム外に飛んでいくのが魅力。これならば回収されたりすることもないのでより安心だ。
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オルゾフ=ギルドの注目カード ベスト5
オルゾフ法典デッキに収録されていないカードにも、まだまだ要注意で要注目で要収集な物は多い。その中でも筆者お奨めのカードを五つご紹介しよう。

・《絶望の天使》
何でも一つ! クリーチャー、アーティファクト、エンチャント、土地、とにかく何でも一つを場に出たときに破壊してくれる究極天使だ。残念ながら対戦プレイヤーを破壊するとジャッジを含め各方面から凄く怒られるというか自分の人生も同時に破壊されるので注意が必要だが、とにかくこの便利な壊しっぷりは大変な事件だ。しかも、そんな超絶能力を持っているにもかかわらず、素の状態で巨大な飛行クリーチャー。これほどフィニッシュブローに相応しいクリーチャーを使わないわけにはいかんのですよ。セットのパッケージ画像にもなった主役級。
・《魂の捕縛》
4マナのインスタント呪文で、相手クリーチャーを破壊しつつ、自分の場にはクリーチャーを追加できるのがポイントだ。相手が召喚したブロッカーを相手ターンに破壊すれば更なる威力で攻撃を仕掛けることもできるし、相手が1マナ余して召喚した《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》だって、おそらく出てくるだろうトークン込みで一撃必殺。しかも憑依付きなので、一度コストを支払えば二度に渡って相手の重要クリーチャーを撃破できちゃうのだ。
・《オルゾヴァの幽霊議員》
4マナ4/4と言えば、場に出た時に4点回復する《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》が既に活躍しているが、こいつだって負けちゃいない。場に出ると相手から直接ライフを1点奪う。差し引き2点なので、教主に比べてちょっと寂しく感じるかもしれないが、《オルゾヴァの幽霊議員》にはこれを何度でも行うための仕掛けが用意されている。それが、他のクリーチャーを生け贄にしての緊急回避能力だ。これを使えば、《オルゾヴァの幽霊議員》はあらゆる危険を避けて、再び場に訪れる。勿論、この時も場に出た扱いになるので、更に1点を奪ってくれるってわけ。
・《債務者の弔鐘》
場に出しておけば、墓地にあるクリーチャーならなんだってアップキープに1体場に直接出してくれる不思議エンチャント。とにかく戻すクリーチャーは何だっていい。前述の《絶望の天使》をもう一度呼び起こして新たなパーマネントに仏罰をくらわしてもいいし、《骸骨の吸血鬼》を何度も召喚してがしがしと蝙蝠王国を築いたっていい。
ただ、半端なく重いのは覚悟しておこう。
・《神無き祭殿》
言わずと知れた白黒用のギルドランドがこれだ。白や黒には序盤から厳しくマナを拘束するカードが多い。そんなデッキの貴重な潤滑油になってくれるのがこれ。是非とも素早く4枚揃えたい。
このデッキをお手軽強化
では、次にこのデッキを手軽に強化してくれそうなカードを洗い出しておこう。ここでは「お手軽に」ってとこを重要視して、コモンとアンコモンだけを対象とする。

・《星の兵団》
素早く防御を整えるのに絶好のカード。序盤から物凄い勢いで攻めてくるグルール対策に最適だ。勿論、宣言するのは除去呪文のある色、赤だ。
・《死体焼却》
墓地対策に欠かせぬ一枚。
・《赦免のスラル》
クリーチャーを出しながらエンチャントを割れるお得憑依生物。《よりよい品物/Greater Good》を見逃すな!

・《貪る光/Devouring Light》
墓地に落ちると厄介なクリーチャーは多い。臭い匂いはもとから絶とう。
・《信仰の足枷/Faith's Fetters》
ライフを守りつつ、様々な難問を解決してくれる。
・《最後の喘ぎ/Last Gasp》
序盤に使いやすいお手軽除去呪文。
・《悪夢の虚空/Nightmare Void》
繰り返し使える手札破壊。対コントロール戦で威力を発揮。

・《ネクラタル/Nekrataal》
黒以外の色付きクリーチャーを手早く容易く葬る便利な殺し屋。
・《処刑/Execute》&《殺戮/Slay》
読み次第。
・《貪欲なるネズミ/Ravenous Rats》
出すだけでお得。
真木流! スタンダード版オルゾフ法典デッキ
最後にスタンダード化をしてみよう。お題は「デッキのコンセプトを活かしたビルドアップ」だ。では、幾つかあるオルゾフ法典デッキのコンセプトの中から、「相手から奪って得をして勝つ」を軸に考えてみよう。
最も単純な方法は、場に出るもしくは攻撃したら得をするクリーチャーを豊富に盛り込む方法だ。ライフを巡る攻防だけで言うと若干後退するかもしれないが、場さえ有利にしておけば後は適当に帳尻が合うはずだ。それを踏まえて作ってみたのが、こんなデッキ。
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改造版『オルゾフ法典』デッキ
真木孝一郎のスタンダードデッキ
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ちょっと緩やかだったカードをより直接的なものに変更し、上でお奨めしたカードをそこに織り交ぜてみた。
では、良い取引が出来ることを。ビバ、オルゾフ!
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真木 孝一郎 (まき・こういちろう)
古くから日本マジック界で活躍する強豪で、グランプリベスト8入賞、The Finals優勝といった数々の戦歴で知られている。
現在は業界を代表する『ご意見番』としての執筆活動に精力的で、マジック『ハンドブック』シリーズも手がけている。
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