プレインズウォーカー・ファーストインパクト(by 浅原 晃)
製品紹介ページ:ローウィン

 ローウィンの世界を理解する上で「部族」(トライバル/Tribal)という特徴をはずすことはできない。むしろ、ローウィンのほとんどの要素はこの部族を中心に作られているといってもいいくらいだ。前回の「プレインズウォーカー」に続き、今回はローウィンの部族について考察していきたいと思う。

 マジック:ザ・ギャザリングのセット全体を通じて大々的に部族がフューチャーされた最初のセットがオンスロートだ。部族というテーマがマジックを直撃するという意味では、このローウィンは第二弾となっている。

 そもそも、部族というのは、現実の世界でも、戦いと闘争の歴史を形作ってきた原因の一つである。部族、血族、人種としての団結は、時として他の部族との対立や協力関係を生み出した。それは、ローウィンの世界も同じだ。ローウィンの世界には、大きく分けて8つの部族が存在するが、彼らは時に協力しあい、時に激しく対立する関係にあると言っていいだろう。

 まず、簡単に部族の種類と主体となる色を確認しておこう。

エルフ…緑黒
ツリーフォーク…緑黒白
巨人…赤白
キスキン…白緑
フェアリー…青黒
マーフォーク…青白
ゴブリン…黒赤
エレメンタル…赤白青黒緑

 ローウィンに登場するクリーチャーたちはすべて8つの部族どれかのクリーチャー・タイプを持っており(「多相」は全てのクリーチャー・タイプを持つ)例外はない。なので、すべてのクリーチャーは8つの部族のどれか、もしくはそのすべてに所属していると言える。こうした、きれいに分けられた構図がローウィンの特徴であり、注目すべき点になっている。また、クリーチャーならずとも、呪文にも部族としての特徴を持ったものもあり、これらも部族シナジー(相乗効果)を誘発する。

 それぞれの部族にどのような特徴、長所や短所があるのか? 限定戦(ドラフト、シールド)、構築戦それぞれの注目のカードをピックアップしつつ考察していこう。部族を制すものはローウィンを制すはずだ。

 元祖ラノワール以来、エルフはマジックの世界でもっとも馴染みのあるクリーチャー・タイプの一つで、常に緑の主要種族の一つとして存在しつづけている。ローウィンのエルフは、緑を主体とした、緑黒になっており、黒という対抗色にその勢力を伸ばしているのが新しいところだ。

 エルフの特徴はその団結力にある。《鋸歯傷の射手》《清廉潔白な判事》など、場にエルフが存在すればするほど、持っている能力を強力に使うことができるものが多い。また、それをサポートするように、エルフを効率的に場に増やすことのできる《リス・アラナの狩りの達人》や、《傲慢な完全者》《光り葉の待ち伏せ》などが存在する。横のシナジーに優れた、エルフは多ければ多いほどその能力を想像以上に発揮してくれるだろう。

 単純に単体としてのパワーも決して低くはなく、部族の特性上、特に重いカードも存在しないため、安定した活躍を見せることができるのがエルフだ。

 ただ、横のシナジーを多く持つゆえ、一気に並べた際の全体除去(※《神の怒り》など)に対しての弱さも秘めているのが欠点に挙げられるだろう。

限定戦注目カード

コモン:《ナースの精鋭》

 地味ながら、《寄せ餌》効果を持っているリミテッドでは貴重な存在。突然ゲームが終わる可能性を秘める。巨大化系呪文や「接死」を付ける事で相手の場を一掃する事も可能。「激突」はおまけ程度のもので、勝てなくとも十分、場に影響を与える事ができるだろう。

アンコモン:《傲慢な完全者》

 エルフ軍団を+1/+1で底上げする能力と、エルフトークンを生み出す能力。そのどちらかだけでも十分な強さを持つのだが、その両方を持ってしまっているクリーチャー。自己完結した能力なので、生き残ればそれだけで勝ててしまうことも多い。

レア:《清廉潔白な判事》

 自分がコントロールしている、エルフの数の+1/+1カウンターを対象のクリーチャーに乗っけるというのはとにかくおかしい。かつてのトライバルセットであるオンスロートブロックで《森林守りのエルフ》が「ターン終了時まで」での同じ様な強化能力だったのにも関わらず余裕のファーストピックだったことを考えると、書いてあることが今の僕には理解できないレベル。構築戦でも使用に耐えうるポテンシャルを持っている。

構築戦注目カード:《仮面の称賛者》

 場に出た時にドローを持つ効果と、クリーチャー呪文を唱えた時に墓地から手札に戻ってくる効果で、アドバンテージをひたすら稼いでくれるクリーチャー。どれだけ回るかが、このカードの価値とも言えるが、こいつに除去は打ちたくない、というか、打ったら負けだと思っていると相手に思わせられる点で及第点は満たしているだろう。環境次第では化ける一枚。

 ツリーフォークは、緑を主体に、白と黒にも散りばめられた生ける大木ともいうべき部族だ。緑の軽いところ担当がエルフであるなら、重いところ担当がツリーフォークになるだろう。もっとも軽いツリーフォークでさえコストが3マナとなっており、また、特性上、パワーに比べてタフネスが大きいのが特徴で、守りに定評がある。

 もちろん、ツリーフォークは壁役というわけでは無く、十分なパワーも兼ね備えており、その牙城を突破するのは容易なことでは無いと言っていいだろう。攻撃に回った際にもそのタフネスは生きてくる。

 ただ、本来の重さも相まって小回りの効かないという欠点は存在する。単体除去やバウンス呪文で、アドバンテージやテンポを失いやすい。また、ツリーフォークはその数自体がエルフなどに比べて少なく、「たくさん並べて〜」系の横のシナジーを生み出しにくいといった点もある。多相を持つクリーチャーと組み合わせて弱点を補うといいかもしれない。

限定戦注目カード

コモン:《戦杖の樫》

 軽いツリーフォークので、早い段階で攻めに回れるクリーチャー。森かツリーフォークを場に出す事で+2/+2の修整を受けることができる。森とツリーフォークを同じターンに同時に出すことは十分に可能で、その場合は一気に5/7にパンプアップし、序盤でとめる事は実質不可能となる。また、ツリーフォークとしては貴重な3マナ圏であるので、序盤に押されるのを避けるという意味でも使え、質実剛健な働きが期待できる。

アンコモン:《茨歯の魔女》

 ツリーフォーク軍団にはシステムらしいシステムというのがあまり存在しない中で、相手のクリーチャーに直接干渉できる唯一といっていい優秀なツリーフォーク。ほとんどの場合、相手クリーチャーに使うことになるだろうが、タフネス3以下のクリーチャーを除去できる能力は強力。ツリーフォークや多相呪文が多く入っているデッキならば、場に与える影響は甚大だ。

レア:《森林の庇護者》

 他のツリーフォークをパンプアップさせるだけならともかく、破壊されないという、マジックの世界では最強の効果のうちの一つを与えてしまうクリーチャー。自身のスペックも低くなく、5マナクリーチャーとしても及第点。また、森も破壊されなくなるので、森をクリーチャー化するなどしても強い。

構築戦注目カード:《包囲の搭、ドラン》

 3色の色マナと伝説のクリーチャーであるのは残念な点だが、3マナで実質5/5クリ−チャーであるのは無視できない。また、タフネスのみを参照とする能力は《近づきがたい監視塔》などの、タフネスの大きいクリ−チャーと組み合わせると恐ろしいことになる。《極楽鳥》《タルモゴイフ》なども地味に強くなったりする。

 巨人の特徴は、その名前の示すとおり、大雑把なところにある。巨人は、高いマナコストと、大きなパワーを持っており、他の部族の追随を許さない。その攻撃力で、圧殺するというのが、巨人の戦い方になるだろう。サイズこそすべて!

 巨人が自分の土俵で戦えるなら敵はないのだが、その足かせとなるのは、やはりマナコストだろう。主力となるクリーチャーが4マナ圏からというのは、序盤は何もできないに等しい、山は動かずである。そのため、巨人がその力を発揮するためには、マナ加速などと組み合わせたいところ。特に、《臭汁飲みの向こう見ず》は巨人呪文を2コスト引き下げる効果を持っている。《臭汁飲みの向こう見ず》は巨人ではなくゴブリンであるが、巨人デッキにはピタリとはまる。部族間でもこのようなシナジーを持つものが居るのもローウィンの特徴の一つだ。

限定戦注目カード

コモン:《巨人の憤り》

 この呪文は単体で見ると決して強くはない。というか、巨人が場にいなければ弱い部類に入る。もちろん、率先して取るというカードでもないのだが、巨人がいる場合、4点のダメージと1ドローとなり、そこそこの呪文に格上げ。しかも、さらに《臭汁飲みの向こう見ず》がいたら、2マナで4点+1ドローとなる。ここまで来ると強い呪文と言えるだろう。つまり、シールド戦では役に立ちにくいが、カードのラインナップを意図的にそろえていけるドラフトでは選択肢になりえるだろう。

アンコモン:《雷雲のシャーマン》

 なにはともあれ、全体除去は強い!…というのは、限定戦では定説になっている。この《雷雲のシャーマン》は巨人の数に比例してダメージが変わるが、巨人には与えられない点、飛行クリーチャーにダメージが与えられる点で非常に優秀。巨人が3体以上いれば、相手の場だけを一方的に壊滅させることも可能だ。

レア:《豪腕のブライオン》

 限定戦、構築戦ともに活躍が期待できる、伝説のクリーチャー。限定戦においては、4マナ4/4、絆魂というスペックが普通に異常。その能力によってクリーチャーを投げ飛ばすだけで勝ててしまう。

構築戦の注目カード:《雲山羊のレインジャー》

 場に出た時に3体のトークンを生み出すクリーチャー。それだけで、単体としてアドバンテージを獲得している。《包囲攻撃の司令官》のような感じだが、本人のサイズが一回り大きく、能力は地味になった。《一瞬の瞬き》などとの相性はいいので、構築での可能性はなきにしもあらずと考えられる。

 キスキンは白をメイン、緑をサブとする部族。キスキンは白い軽量クリーチャーを主体としており、ローウィンにおける白系ビートダウンを一手に引き受ける形になっている。

 軽量クリーチャーも白の特徴をしっかりと引き継いでおり、優秀なものが多い。白ウィニーというスタイルでは構築レベルと言えるカードも多く存在している。また、クリーチャーをサポートする《思考の糸のうねり》や4マナ以上の呪文を封じてしまう《ガドック・ティーグ》などで、休む事なく攻撃を続けて相手を圧倒して戦えるだろう。

限定戦注目カード

コモン:《チドリの騎士》

 飛行クリーチャーは限定戦では優秀である。5マナ3/3飛行は標準的に使えるサイズとして及第点で、なおかつこのクリーチャーには先制攻撃がついているため、飛行クリーチャー同士の戦いではとまりにくい。決して派手なカードではないが、標準的なクリーチャーの質として考えるとキスキンの部族としての強さが分かる。

アンコモン:《皺だらけの主》

 ロード系の能力を持ったキスキン。マナコストが色マナダブルシンボルであるが、他の部族の同能力のクリーチャーよりも1マナ軽いのが利点であり、テンポ良く攻めることが可能になっている。構築戦での活躍も期待できるクリ−チャー。

レア:《キンズベイルの勇士、ブリジッド》

 攻撃しているクリーチャーか、ブロックしているクリーチャー全てに2点のダメージを与える能力は限定戦に置いては凶悪。実質、タフネス2以下のクリーチャーは攻撃も防御もできないというのに等しく、それ以上のクリ−チャーも大きく行動を制限されるだろう。

構築戦の注目カード:《ガドック・ティーグ》

 4マナ以上、特にクリーチャーデッキにとって致命的な《神の怒り》《滅び》と言った呪文を打たせなくすることができる効果を持っている。そのため、コントロールデッキを相手にした時に絶大な効果を発揮してくれるだろう。例え、《ガドック・ティーグ》が3マナ以下の呪文で除去され、その上で《神の怒り》を使われたとしても、本来多大なアドバンテージを得られる《神の怒り》の威力を半減させていることは間違いない。《予感》《神秘の指導》と言った、現在の優秀なドロー呪文も4マナ域に集中している事実もあり、この秋、活躍が期待される一枚。

 フェアリーは、トリッキーな動きを得意とする部族だ。フェアリーの特徴は、飛行、瞬速、そして、相手のターンに呪文を唱える事で誘発する能力だ。これは、瞬速とうまく噛み合っており、これらをうまく使う活用して場をコントロールしながら、飛行クリーチャーによるビートダウンを行う。

 フェアリーのクリーチャーはそのすべてが飛行クリーチャーであるが、その反面、パワーとタフネスが低くなっており、それがそのまま欠点となっている。火力や、ダメージ、マイナス修整を生み出すシステムに対して脆弱であると言えるだろう。きっちりそれらに対処できるかが、フェアリーの課題になる。フェアリーには打ち消し(カウンター)も存在しているので、それをうまく使うといいだろう。

 瞬速や呪文を使い、相手のターンに行動する事で、テンポとアドバンテージに対して攻撃的にアプローチできる部族だ。

限定戦注目カード

コモン:《夢棄ての魔女》

 相手のターンに呪文を唱えることで対象のクリーチャーに-1/-1修整を加えることができるクリ−チャー。純粋な除去や、戦闘トリックとして使うことができる。また、見えている能力ゆえ、使える呪文が無いとしても、呪文が唱えられるように見せかけるだけでも、相手に躊躇させることができるだろう。心理的トリック、ブラフ、といった駆け引きを堪能してほしい。

アンコモン:《湿地の飛び回り》

 場に出た時に2体のゴブリン・トークンを生み出すクリーチャー。地上戦線におけるブロッカーとして利用するもよし、生贄に捧げ、3/3クリーチャーとなってダメージを叩き出すも良し。また、バウンス呪文や効果と相性が良く、繰り返し使う事でアドバンテージを稼いでくれるだろう。

レア:《噛み付く突風、ウィドウェン》

 4マナ3/3飛行、瞬速が弱い事は無いのだが、手札に戻る能力をさらに有しているのが非常に強力。除去をかわして良し、ダメージをスタックして戻すも良しで、さすがは伝説のクリーチャーと言ったところか。

構築戦注目カード:《霧縛りの徒党》

 覇権、瞬速持ちの4/4飛行。本来、覇権はデメリット能力だが、このクリーチャーは覇権した際に誘発する能力を持っており、それを有効に使うことで大きな役割を果たす。覇権した際に相手の土地をすべてタップさせることができるので、相手のアップキープに使うのが一般的になるだろう。インスタントで対応できなければ、4/4飛行が場に出た上に相手は実質1ターンを無駄にすることになるのだ。

 マーフォークは特殊な部族になっている。それは、部族全体がシステム的な動きをすることにある。マーフォークはタップした時に誘発する能力と、タップさせることで何か効果を発生させる能力の組み合わせでシステムを構築する事を目指している。つまり、ひとつのアクションで複数の効果がもたらされるようになるのだ。

 たとえば、《深みの古参兵》《秘密を溺れさせる者》。これは、タップすることで効果を発生させるクリーチャーとタップさせる事で効果を発生させるクリーチャーの組み合わせであり、本来攻撃しなくては、能力を発揮できない《深みの古参兵》の能力を能動的にどのタイミングでも使えるようになる。

アドバンテージ獲得やシステム構築を行う部族

 こういった形でのアドバンテージ獲得やシステム構築を行う部族が今回のマーフォークの主な特徴と言えるだろう。そうして、膨大なアドバンテージを得て、磐石な体勢を作りあげれば…後は煮るなり焼くなり好きにしろこんちくしょうとなるのだ。

限定戦注目カード

コモン:《水流を読む者》

 タップする事で1点のライフを回復する事ができる。自身は1/1であるため、この効果は攻撃して発揮させるということはほとんど無い。しかし、自分がコントロールするマーフォークすべてに対して起動するため、タップすることで効果を発揮するマーフォークと組み合わせれば大量のライフを得ることができる。

アンコモン:《群れの召喚》

 マーフォークをひたすら呼び出すことができる呪文。特に《水流を読む者》などとの相性が良い。単純にワラワラ出てくるのが強いので、マーフォークデッキであるならば、その効果は折り紙付きだ。

レア:《高潮測り》

 タップした時に《ブーメラン》を誘発するクリーチャー。攻撃時に使ってもそこそこの効果ではあるが、攻撃以外で能動的にタップできるならば、《時間の名人》を遥かに凌ぐ能力となるだろう。

構築戦注目カード:《川の案内者、シグ》

 全体除去や火力に優れる構築戦では、システムの構築というのは難しい。ただ、逆に古くから存在する、「フィッシュ」、つまり、軽い打ち消し呪文と青い軽量クリーチャーによるビートダウンは現実的だ。時のらせんで《アトランティスの王》が加わったことで、《川の案内者、シグ》との2枚看板によるマーフォークによる猛攻が始まるかも。

 ゴブリンは部族の最高峰として君臨しつづけて来た。エクステンデットなどでは、《ゴブリン徴募兵》《ゴブリンの従僕》などが環境を支配し、禁止カードに指定されたことさえある。今でも、ゴブリンデッキは、レガシー、エクステンデッドといった世界で活躍しており、部族界の帝王といっていい存在だろう。

 ローウィンでのゴブリンは黒と赤の組み合わせで、黒いゴブリンが多く入っている。ゴブリンは、ワラワラとしたアドバンテージを持っており、場に出ることよりも墓地に落ちることを想定した上での戦い方が基本になっている。

 個々の戦闘力は決して高くは無いが、墓地に落ちた時に誘発する能力や、墓地回収の能力、また、部族内のシナジーを使っての総合的な部族としての能力は高い。マナコストも高くないため、軽快に動くことも可能だ。

 また、純粋に高いカードパワーを持ったカードも存在し、限定戦のみならず、構築戦でも期待できるのは間違いないだろう。そう、帝王は依然変わりなくゴブリンだ。

限定戦注目カード

コモン:《巣穴のこそ泥》

 つまるところ《グレイブディガー》であるのだが、5マナで3/3かつ、ゴブリンを拾った場合速攻を得ることのできる効果を持っている。本家が4マナとはいえ、ただの2/2だったことを考えると…それを上回る能力であると言えるだろう。単純に3/3というサイズが戦力として数えられるレベルであるのは大きい。

アンコモン:《チューパイくすね》

 このクリーチャーはどちらかと言えば構築戦向きかもしれないが、2マナで畏怖持ちのパワー2のクリーチャーが限定戦でも弱い道理は無い。ただ、その条件である手札からのゴブリン・カードの公開が限定戦では満たせない時もあるかもしれない。

レア:《ボガートの汁婆》

 毎ターン、ゴブリン・カードを1枚回収できる能力が強い。《タール火》などの火力や多相を持っているカードも回収可能であり、その用途は思った以上に広い。自身も3/3畏怖持ちと十分おかしいスペック。除去の乏しい限定戦に置いては勝負を決められる性能を持っている。構築戦でも十分使えるパワーカードだ。

構築戦での注目カード:《節骨の魔女》

 ゴブリンが墓地に落ちる事でパワーアップするクリーチャー。

 俺達は死ぬために生まれてきたんじゃない、と彼らも言いたいところだろうが、実質、死ぬために生まれてきたんじゃないかというゴブリンは非常に多い。…のでゴブリンデッキなら、放置しておくだけで、すくすくと魔女が成長してくれるのは間違いないだろう。

 エレメンタルはローウィンで一番多く存在する部族だ。しかし、エレメンタルはどの色にも存在するため、エレメンタルの特徴を一概に括ってしまうのは難しい。ただ、エレメンタルには特定のシリーズ化されているものがある。

 例えば、想起を持ったクリーチャーは全てエレメンタルであり、各色に一体ずつ存在する、インカーネーションたちもエレメンタルに属する。これらは、その単体でのカードパワーを有しているが、色もバラバラであり、部族としての相互シナジーは殆ど生み出さない。

 ただ、エレメンタルをもっとも多く有する赤は、エレメンタルによる部族としての相互シナジーを持っている。《白熱の魂炊き》《新星追い》はエレメンタルを多く持っていることで、その力を強力に発揮できるだろう。

 強力なカードを多く持っているエレメンタルはローウィンのキーとなる部族と言えるだろう。

限定戦の注目カード

コモン:《煙束ね》

 使用がエレメンタル限定であるものの、好きな色の組み合わせを2マナ生み出す事ができる。多色に渡るエレメンタルを運用したいとなると、このクリーチャーは欠かせない。マナ加速としても申し分なく、色マナ不足も一手に解消してくれる。

アンコモン:《叫び大口》

 想起を持ったクリーチャー。クリーチャー除去能力を持っている割に自身のスペックが強いのが特徴的。普通は5マナで場に出して、除去しながら攻撃クリーチャーとして使うが、緊急時には2マナでの除去呪文として使えるので汎用性が高い。クリーチャーを墓地から回収するカードと組み合わせると簡単にアドバンテージが取れる。

レア:《活力》

 インカーネーションの中でも、クリーチャー戦闘を根本的に否定している能力。ダメージが無効化され、さらに+1/+1カウンターが乗っていくのだから、もうやってらんないよといった感じで、真面目にやっている方は商売あがったりである。

構築戦注目カード:《新星追い》

 4マナでパワー10の領域はめったにお目に掛かれない逸材。覇権という条件もクリアするのは容易だ。ただ、タフネスが2しかないので、いかに守れるかというのが課題になってくるだろう。《伏魔殿》などと組み合わせても面白い。

 最後に多相を挙げておこう。多相は全てのクリーチャー・タイプを持っている、つまり、全ての部族にとって自分の部族と同じ扱いをできるカードであると言える。ローウィンの世界では特に強いと考えていい能力だ。

 しかも、多相を持っているからといって、特に能力やサイズを弱くされているという事も無い。純粋に強いと言えるカードも多く存在している。多相はこのローウィンの部族の隙間を埋める潤滑油であり、強力な戦力として数える事ができるのだ。

限定戦注目カード

コモン:《名も無き転置》

 多相呪文であり、除去になる呪文。パワーを上げてしまう事を無視できる状況なら、単純にタフネスを-3する呪文として使えるし、いざとなったらパワーを+3する呪文としても使えるだろう。この呪文は、多相であるため、あらゆる部族に対して誘発する効果に誘発し、サーチしてくることも可能だ。

アンコモン:《幽霊の変わり身》

 地味ではあるが、実際、多相が無くとも十分及第点のクリ−チャー。多相を持ったクリ−チャーは及第点の能力を有しながら、多相を身に付けているといった感じになっている。これに限らず多相クリーチャーは、ドラフトなどで、色が合うならば率先して取って行ってもいいだろう。

レア:《鏡の精体》

 多相うんぬん以前にその能力がおかしいクリーチャー。Xマナで全体に及ぼす効果は絶大。とりあえず、5マナ程度あれば相手を即座に撲殺できる。構築でも多相を利用すればレベル軍団のサーチエンジンなどに組み込むことも可能だ。

構築戦注目カード:《外身の交換》

 対象のクリーチャーを取り除く効果を考えると除去としての性能は高い。場に1/1トークンを残してしまうが、余程の事が無いかぎりそんなの関係ねぇという展開になるだろう。《忘却の輪》と共に白の除去を厚くした一枚。

 それでは、今回はこの辺で。自分なりの部族を見つけてトーナメントに行ってみよう。


浅原 晃(あさはら・あきら)

 マジックの歴史と伝統を愛するデッキビルダー。いまや日本における構築フォーマットの権威のひとりと言うべき存在で、各種媒体に独特のセンスあふれる浅原語録を披露している。

 2005年度世界選手権横浜大会ではメタゲーム外の存在と言われていた「歴伝」デッキをプレイして見事にベスト4に入賞。グランプリ優勝、The Finalsの連覇といった輝かしい業績の数々で知られてもいる。

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